珍種!3ヘッド・オートリバース・ダブルカセットデッキ <後編>

 

前編からの続きです。前編はこちらです。

デッキ1(左)の作業が終わって、日を改めてデッキ2(右)の作業に取り掛かります。文章は少ないですが、写真を多く撮りましたので、作業の推移がご覧いただけると思います。TASCAMの112、112R、122も共通メカですので、同じ要領で作業が可能です。

まずは、メカを分解するところからです。背面側から行っていきます。

続いて、前側に移ります。

ここまで、デッキ1と同じ作業です。もう2回目ですので、特に行き詰ることはありませんが、何となく単純作業のように感じます。グリスを再塗布した後、元通りに組み立てていきます。


片方のデッキも、アイドラーはシリコーン製に交換しましたので、こちらもシリコーン製に交換しておきます。

両方のメカの作業が終わりました。

しかし残念なことに、走行方向で消去ヘッドの出力を切り替える、スイッチを破損してしまったので、録音ができない状態になってしまいましたが、ここは、リレー制御方式への改造を検討していたので、特に深刻な問題ではありません。

元々、カムの動作によって物理的にスイッチを押す構造が少し貧弱ですので、この機に電子的な切替方法に変更しようと思います。

もちろんTASCAM 112Rでも同じ機構ですので、同じように施工が可能だと思います。破損しやすいギヤは、同等寸法の物に交換しました。


再生速度の調整は、システムコントロールにある、この可変抵抗で調整が可能です。キャプスタンモーターと連動しているのは、向かって左のボリュームです。

真ん中は、リールモーターの回転速度が変わりました。右は変化がなかったので、どこに作用しているかまだ分かりません。もしかしたら電磁式のバックテンションの強さかもしれません。また時間があれば調べたいと思います。

 


ひとまず以上で、この珍種のカセットデッキの整備は終了です。このデッキは、ノーマル、ハイポジ、メタルのすべてが使用可能ですが、なんと、ノイズリダクションが非搭載です。せめてBタイプは搭載されていないと、私の使用環境では厳しいです。

3ヘッドのダブルデッキで、しかも再生出力も完全独立で、言い方が悪いかもしれませんが、いわゆる変態デッキと言えるかもしれません。ノイズリダクションが搭載されていないことがとても惜しい点です。

もし搭載されていたら、再生専用機として活躍できると思いますが、業務用なので、民生用に転用するとなると、やはり無理があるかもしれませんね。
 

珍種!3ヘッド・オートリバース・ダブルカセットデッキ <前編>

 

カセットデッキで最も音が良いとされるのは、3ヘッドでワンウェイ、さらにクローズドループ・デュアルキャプスタンを採用している、多くのブランドで高級モデルにあたるデッキでしょう。

しかし音質に対して機能性を重視したデッキに、オートリバースやダブルデッキといった、比較的安いモデルがあります。残念ながら構造上、カセットテープの性能を十二分に発揮しきれないため、あまり注目はされないデッキとなっています。

前置きはここまでにいたしまして、今回ご紹介するデッキがこちら。

TOWAという、私でも聞き覚えのないブランドですが、デッキのボタンがどこか見たことのある形状です。ご存知かもしれませんが、TEACの業務用であるTASCAMのデッキにこれと同じものが採用されています。

TOWAの正式名称は「東和エンジニアリング」と記載されていました。中身もどうなっているのかあまり見当がつかず、初めはごく一般的なダブルデッキで、TASCAMのメカなら、色々部品流用が効くだろうと、推測しておりました。

しかし、扉を開けてヘッド部分を確認してみますと….

拡大して確認していただくとわかりやすいかもしれませんが、なんと左右両方とも3ヘッドのメカが搭載されています。これには驚きました。こんなデッキが存在していたなんて、思ってもいませんでした。しかも、オートリバースですから、単純にTASCAM 112Rが2台搭載されていると言って、過言ではないと思います。

 

キャビネットを開けてみますと、112R二台分ということもあり、この複雑ぶりです。ぎっしりと凝縮されています。整備の際は、どのコネクタがどっちのデッキなのか、間違えないように工夫する必要があります。

 

さて、開梱当初の状態は、デッキ1(左)は問題なく再生ができますが、

こちらのデッキ2(右)は、ヘッドが上がり切らず、エラーとなってしまいます。少しメカが固着気味のようでした。さらに、このTASCAMと同じメカであることは、よくギヤが破損して動かなくなると言われる症状にも当てはまります。破損する前にギヤの交換も行うことにしました。

整備作業に移りますが、ダブルデッキですので作業時間が2倍かかります。時間が掛かることもそうですが、何より飽きてくるのが辛いです。両方のデッキを1日でやるのは、精神的な面からお勧めしません。

 

前面パネルと、ボタン部分のパネルを取り外しているところです。パネルにも配線が繋がっていますので、複雑な配線の中から探して、該当するコネクタを抜きます。マジックなどのマークや、写真での記録が必須です。

 

システムコントロール回路は、左右独立していますので、基板も2枚です。配線も全て抜いてしまいます。

メカのユニットを降ろすことに成功しました。TASCAMのメカは、それなりに重量もありますので、2台分搭載されているという事は、本体重量も重くなります。正確には量っていませんが、10kgくらいはありそうです。

 


TASCAMのOEM製品であれば、どこかにTEACの表記があるはずですが、確かに表記がありました。

 

整備方法自体は、TASCAMの112、112R、122と同じで、もちろん所有しているマルチトラックの134も同じです。

 

100%の全分解ではありませんが、潤滑グリスを再び入れるのに必要な分解は、これくらいまで分解する必要があります。

 

アイドラーもゴム製から、滑りにくく低騒音なシリコーン製に交換しました。

メカを組み立て中です。TASCAMのメカの作業は、難易度的にはどのくらいでしょうか。ご自身でメンテナンスをやっている方で、それぞれ得意不得意があると思いますが、私は、皆様から作業を受諾する以上、好き嫌いはあってはなりませんので…どの機種でもこなせるように、技術の向上に努めています。

 

デッキ1のメカの作業が終わりました。所要時間としては、途中雑用などで手が止まる時もありましたが、3時間程度でした。これを、もう1サイクル行うので、また時間が掛かります。これがダブルデッキの悩みどころですね。

どうしてダブルデッキが、活発に取引されない大きな理由が、ここにあると思います。幾ら安くてもカセットデッキの仲間ですから、廃棄されてしまうのも、少し悲しく感じます。

続きの後編では、デッキ2のメカの整備です。文章が少ないですが、出来る限り細かいステップで画像に記録していますので、作業の推移がご覧いただけると思います。

後編はこちら