実験用カセットデッキ A&D GX-Z6100の修理

 

先日、ヘッドを交換する実験のために入荷したTEAC V-1030に続き、AKAIのスーパーGXヘッドを搭載した、GX-Z6100の修理を行いました。

ヘッド交換の音質変化の調査は、V-1030のハードパーマロイヘッド、V-5000のアモルファスヘッド、そしてGX-Z6100のGXヘッドを、相互交換して行います。
このGX-Z6100も単なる部品取り機ではなく、GXヘッドではないヘッドに交換して実験を行うので動作できるように修理をしておきます。

それでは、修理の様子をご紹介いたします。

作業記録で撮影した画像を掲載しているので、見づらい部分がございますが、なにとぞ、ご容赦ください。

故障箇所はよくあるキャプスタンベルトの溶断です。前面パネルは上側と下側をネジで固定しているだけで、簡単に外せます。

 

メカを取り外す前に、ケーブルのコネクタを抜いておきます。メイン基板側にある、消去・録音・再生ヘッドのケーブル、カムスイッチ用のケーブル、メカに接続されている、モーター用のケーブル、ポジション検出信号のケーブル、すべて抜いておきます。

 


ケーブルをすべて抜いたら、メカの取り外しに掛かります。GX-Z6100のメカの固定方法は少し変わっていて、4本のネジを水平方向に固定しています。例えとしては、壁にボルトで四隅を固定するという感じです。

取り外しは、まずシールド板を固定しているラッチをこじって抜き取り、そして四隅を留めているネジを外します。

 


ネジを外したら、背面に向かって引き抜けば、このように取り外すことができます。

GX-Z6100はAKAI独自のメカではありませんが、このコンパクトサイズながら、クローズドループ・デュアルキャプスタンで、メカ自体がとても軽量ですので、作業がとてもしやすいです。
次にキャプスタンモーターを取り外しますが、前面にも固定しているネジがあります。バックテンション用の部品が邪魔なので、これも外しておきます。

 

背面からは、ネジは3本あります。モーターだけなら下側にある2本のネジを外せば外れますが、キャプスタンホイールにゴムが溶着してしまっているので、基板も外さなければ、キャプスタンを外すことが出来ません。 基板の取り外しにはモーターとポジション検出スイッチも外す必要があります。これには半田ごて、半田吸い取り器具が必要です。

 

このように外れたら、キャブスタンと、ベルトプーリーをエタノールで掃除して、新しいベルトを張ります。使用するベルトはΦ75mmの平ベルトです。φ70mmも使えますが少し張り具合が強くなります。バックテンション用のベルトも忘れずに取り付けます。こちらはφ20mmのベルトで、リール回転のセンサーの基板を外して、リールとプーリーにベルトを掛けます。

 

逆の手順で組み立てて完了です。

再生速度もずれていれば、キャプスタンモーターの速度調整を行います。 今後、しばらくこのまま動作をさせた後、実験に移ることにしています。まずは様子見というところですね。

比較的安い機種ですが、諦めて捨ててしまうのはデッキにとって残念なことです。ぜひ復活させてあげましょう。

 

スーパーベータマックス。海外仕様のSL-HF900

 

 

日本ではあまり見かけないような表示。

実はこちらは、ベータプロで有名なSL-HF900でも、日本仕様ではなく海外仕様のSL-HF900です。

もの珍しさに仕入れてみました。

ちなみに日本でキャリア周波数を上げて高画質化した規格を、ハイバンドベータと呼んでおりますが、海外ではスーパーベータと呼ばれます。

 


内部はこのように、日本仕様と変わりません。しかし海外仕様ですので、使用電圧が異なります。

 

電源プラグも異なるので、日本のコンセントには差せません。ですので、電源部分だけ日本仕様のものに交換する必要があります。

早速、部品取り用となっている同じSL-HF900から拝借します。

 


まずは電源部分の取り外しです。本体の外側にある黒いネジと、中で固定している2つのネジを外し、映像回路や制御回路からのケーブルを抜けば、簡単に取り外すことができます。

 


左が米国仕様、右が日本仕様です。比較すると米国仕様はサービスコンセントが1つしかありません。

使用電圧が異なりますが、どちらもブリッジダイオードで直流に整流した後、例のSTK5441電源ICを通して、12Vと9Vに降圧しますので、回路自体は日本と共通です。

ということで、米国と日本を入れ替えます。

電源部分だけ日本、他は米国のままで、表記が英語になっています。そのほかにも日本との大きな違いがあります。

 


前面にあるこちらの部分ですが、録画モードのスイッチをよくみると、本来あるはずのβⅠsがありません。旧式のβⅠの再生には対応しているようですが、βⅠsは対応していないようです。

バイバンドのスイッチは、呼び名が違うのでスーパーベータになっています。

 

無事、通電するようになりました。

カセットのローディングも出来るようになりましたが、肝心の回転ヘッドが回転しません。

ヘッドも動作するものに交換する必要があったので、ドナーから移殖しました。

本体の底面から、回転ヘッドを取り外します。

メカの部分に日付が印字されていますが、これがほぼ正確な製造月日だと思われます。1985年の5月8日のようです。

このように取り外すことができます。そして正常な回転ヘッドを取り付けて完了です。

 

ブラウン管テレビを使っている関係で、カメラで撮ることが難しいですが、その後、ヘッドの掃除など行い、きれいに再生されるようになりました。

βⅡ・Ⅲモードの再生はできますが、βⅠsは正常に映像が出ません。どうしてか、ここだけは少し不明です。映像回路が異なっているのかもしれません。

βⅠsに対応していないので、実用性はあまり無さそうですが、希少な海外モデルですので、動く状態で保管してみたいと思います。