みなさん、こんにちは。西村音響店でございます。
今回は、カセットデッキと何故か旅がコラボするテーマです。
昔は、外で音楽を聞くとなると手段が限られていました。ラジオでは、運よくリクエストが当たったらラッキー!という感じだったのではないでしょうか。今はホームページやメールで曲のリクエストができますが、昔はどうだったのでしょう。手紙が中心だったのかな?
そんな時、革命を起こしたのが、ご存じかもしれませんが1979年に登場したカセットウォークマンです。その他には、カーステレオもありましたね。
スマホが当たり前の時代にデンスケ
外で音楽を聞く手段。もう言うまでもなくスマホです。少し前までは、iPodだったりウォークマンだったり、MP3専用のプレーヤーという物もありました。よほど、iPodやウォークマンが好きであれば別ですが、大抵スマホで間に合います。スマホで聞く以外メリットはないと思います。
デンスケも一緒です。音楽を聞くだけなら要りません。それでもデンスケを旅に連れていきました。外でカセットテープを聞きたかったからです。
ところで、まだMP3などのデジタル音声が手軽に扱えなかった時代は、車でカセットテープをよく聞いていました。みなさんもまだ記憶に新しいと思います。ましてや「いや、俺はまだ現役だ。」という人もいらっしゃるはずです。
僕はそのころ、幼稚園~小学校低学年でした。車で旅行に行く前に、でっかいラジカセ(バブルラジカセ)でレンタルCDをテープに録音しているところを傍で見ていましたね。これがきっかけでカセットテープが好きになりました。当時はメタルテープ対応のデッキがなかったのが残念…
学校が終わった後、祖父と一緒に近所の電気屋さんへテープを買いに行っていたのも良い思い出です。なぜかSONYのHFが好きだった(笑)
僕のカセットテープライフは、この1台から始まりました。残念ながら、かろうじてラジオと左のデッキが使えるジャンク状態になってしまいました。
処分も考えましたが、やっぱり捨てられないですね…
デンスケかウォークマンか。
さて、ポータブル型のカセットプレーヤーというと、デンスケとウォークマン。もちろんそれ以外にも沢山ありますが、今回はソニーに絞りましょう。どちらも長短があります。
僕はデンスケ派です。
理由はスピーカーの有無。
旅先の環境音もしっかり耳に焼き付けて家に帰りたいという想いがあります。
もう一つあります。今回、旅する手段は自転車です。そのため、ウォークマンですと走りながら聞くことができません。ヘッドホンから漏れる音で聞けば、不可能なこともないですが…
これは交通ルールに関わってきますし、基本的に周りの音が聞こえない状態は危ないです。後から車が迫っているに気づかず、はねられたら一生家に帰れられなくなるかもしれません。
でもデンスケならスピーカーですので、大きすぎない音量であればOKです。
しっかり安全確保したうえで、デンスケとサイクリングを楽しみながら旅をします。
デンスケを鞄に忍ばせて自転車をこぐ。
今回の旅程は、地元愛知県を出発し、豊川稲荷を経由して、浜名湖まで自転車で行くというものです。
愛知県から静岡県へ越境するには、山を一つ越えます。長い上り坂の道中、ゆっくりゆっくり上っていくことになります。何回漕いでもスピードが出ません。
漕いでいるだけでは次第に退屈になってきます。そこでデンスケです。
再生モードにしたデンスケを鞄(今回はリュック)に忍ばせます。すると、BGMを流しながら山を上っていくことができます。これだけでも精神的にかなり楽です。
音量の設定がミソで、ガンガンに大きいとやかましいだけですし、小さすぎても聞こえないです。鞄の生地の厚さによっても丁度いい音量が違ってきますから、試行錯誤が必要ですね。
鞄以外にも、ママチャリなら、前かごに入れるだけで聞けます。ただ、そのままデンスケをかごに入れるだけでは、走行中の振動もあって心許ないので、クッションくらい1枚敷いてあげた方がいいですね。
ラジオを聞きながら、のんびり自転車で走っているおじいさんを見かけたことがあると思いますが、あれのデンスケ版です。
もう一つ、スポーツ自転車に多いフロントバッグに忍ばせる方法があります。デンスケではありませんが、Bluetoothスピーカーでやったことがあります。
この方法でも聞けるんですが、ちょっとスピーカーから遠いので、音量を上げないと厳しそうです。ただ、滅多に人や車が来ない場所なら問題ないでしょう。僕個人的には、人通りの多いところで音を漏らしながら走る勇気はありません。
それよりも、デンスケが少し重たいので落下に気を付けなくてはなりません。あまり小さいバッグだと心許ないですね。
ほかにも、工夫次第で方法は作り出せると思います。今回はリュックに忍ばせてみましたが、背中から音が聞こえてくるのでなかなか良さそうです。
心霊スポットの中でデンスケ。
道中で旧本坂トンネルを通ります。後から知りましたが、ここは心霊スポットとして知られているそうです。それも知らず、デンスケの音を駄々漏れにしながら真っ暗闇のトンネルに入っていってしまいました。
心霊スポットと知らなかったとしても、照明一つないトンネルはちょっと怖いです。音の反響の仕方も不気味です。まるで、千と千尋の神隠し。
BGMを流していたので無茶苦茶というほど怖くはありませんでしたが、無音だとちょっと怖いかもしれませんね。静岡県側のカラスの鳴き声が異様な大きさで聞こえてきます。
宿泊先でデンスケ。
ホテルに着いたら、デンスケと一緒に部屋の中へ。
テレビはほぼ必ず備え付けられていると思いますが、旅中くらいは時を忘れたいものです。だからデンスケを持ってきました。
ゆったりとしたヒーリングミュージックを聞きながら、一人でじーっと思索に耽けてみたり…
朝の珈琲を飲みながら、今日のモチベーションを上げたり…
考え方は色々ですが、僕にとっては旅中の音楽はとても大事だと思っています。行く場所よりも、移動中の景色から目的地まで旅全体の雰囲気を大事にしたい人間です。
初めてデンスケと旅した感想
移動しながら聞いたり、どこかに座って聞いたり、部屋の中で聞いたり、etc..
特に、旅先の風景を眺めながらカセットテープを聞くって、ヒーリング映像を生で見ているような感覚です。
いつでもどこでも、いつもと変わらないイイ音でカセットテープを聞けるデンスケの素晴らしさを実感しました。ヘッドホンやイヤホンを持っていけば、自宅のデッキの音と変わらない音で聞けますからね。
昔流行った『生録(ナマロク)』をしながら旅するというのも面白そうです。旅先の場所の音をカセットテープに録れば、フィルムカメラの写真みたいに思い出として記録できるかもしれません。
もう1つ実感したことがあります。それは、外でカセットテープを聞くには色々と悩むこと。
どのテープを持っていくのか? どの曲を録音するのか?
車だったら沢山持っていけるかもしれませんが、自転車に重荷には大敵です。出発直前まで悩んでいました。
しかもテープに録音できる分数は決まってますからね。本数を少なくしようと、どうしても90分などの長いテープを選びたくなります。するとテープが薄いので劣化も早いです。「車用のテープは消耗品」ということを耳にしたことがありますが、同じく「旅用のテープも消耗品」です。
それなのにSAを持っていくという…あまり宜しくないですね。ハイグレードテープは基本的に自宅用にしたいところです。冒頭で少しお話ししたように、車用と自宅用でテープを作るのがベストだと思います。
皆さんはどうですか?例えば、車用ならADまでとか、車用ならHFで十分とか….僕としてはなんとなくローグレードを多用するような印象があります。
今はスマホがあるから便利、ではなく「当たり前」ですからね。スマホは無数の曲を聞けるのに対し、カセットは限りがあります。今回は4本で50曲余りしか聞けませんが、1泊なら十分です。全曲聞くことができました。いつもより真剣に音楽と向き合うことができたと思います。
平成生まれの僕が昭和時代の旅行を体験した、そんな旅でした。
でもやはり、スマホよりもカセットの音が好きなので、外で聞けるのは最高です。