西村音響店

カセットテープが録音できる最高周波数は20kHz以上。

カセットデッキのいろは 第34回

 

こんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。

音響店のブログをお読みくださり、ありがとうございます。

今回は、カセットテープは一体どれくらい高い音を録音できるのかについて考えてみましょう。


 

ところで、CDが記録できる最高周波数は何Hzでしょう?

情報系の大学に行くと習うと思います。

 

 

 

 正解は、22,050Hz。

 ただし、デジタル信号の理論上、20,000Hz以上は波形を再現できないため、忠実に記録できるのは20,000Hzまでとされています。

 

 音の高さを数値で表現するには周波数を使います。単位はヘルツ(Hz)です。もちろん、多くの方はご存知だと思いますが、念のため記しておきます。

 

 ではさて、カセットテープは何Hzまで録音できるでしょうか?

 

 

理論上は上限なし。

 アナログは連続値(れんぞくち)、デジタルは離散値(りさんち)とも言われます。

 カセットテープはアナログですから連続値です。1、2、3、…のように数値では表すことができません。ですので、理論上は何Hzでも記録できます。しかし、実際は厳しいものです。

 カセットテープは磁気を使って記録するので、磁石となる材料(磁性体)に物理的な限界があります。磁性体は無数にありますが無限ではありません。

 さらに、テープを送るスピードが速いほど音が良くなります。しかし速すぎると、例えば3分しか記録できなくなるなど、実用面でも限界があります。

 デジタルは数値で記録するので、数値の桁数に限界があります。アナログは物理的に記録するので、物理的な限界があります。

無限に記録できるハードディスクが発明されたら、大ヒット間違いなしです。MP3なんて必要ありません。

 

実際にカセットテープに記録できるのは何ヘルツまで?

 カセットテープや録音に使う機材(テープレコーダー)によって異なりますが、一般的には22,000~23,000Hz程度まで録音できます。

 それ以上の周波数はCDと同じように、記録はできますが忠実には記録できない領域となります。中には30,000Hzまで録音できるものも存在しますが、ごく一部です。

 

 高い音を録音する能力は、どうやらカセットテープの方が上手のようです。

 ただし、上手になるには条件を満たさなければなりません。これがアナログの厄介な部分。

 

条件とは、

  • メタルテープを使うこと
  • 高性能なレコーダーを使う事

メタルテープとは・・・
3つあるカセットテープの種類の中で、最も高性能なテープのこと。
カセットテープには『ノーマル・ハイポジ・メタル』というグレードのようなものがあり、メタルが最上級です。

 

 この2つを満たさなければ、CDの方が勝ちます。ラジカセでは勝負になりません。

 レコーダーは、最低でも定価6万円台のものが必要です。今では中古で安く手に入りますが、古い機材が多くてメンテナンスをしないと使えません。

 しっかりメンテナンスをしてあげると、CD以上に良い音で録音&再生ができます。


 

 それでは、実際に何Hzまで録音できているか、スペクトルアナライザーで確認してみましょう。これを使うと、どの周波数がどれくらいの音量で再生されているかが分かります。

 

まずはCDから。
(画像をクリックすると拡大画像を表示します)

 20,000Hzを境に、急激にグラフが下がっています。これがデジタル信号が特徴です。

 CDの音は、音の大きさを―32768~+32767の数値で表し、それを1/44,100秒おきに記録しています。専門的にいうと、数値を量子化ビット数、何秒毎に記録するかの事をサンプリング周波数といいます。

 しかし、1/44,100秒おきに記録していることの裏を返せば、どう頑張っても20,000Hzより高い音は捨てられてしまうことを意味しています。


 

 続いてはカセットテープです。

 先ほどの2つの条件を満たしていると、このような結果が出ました。

 25,000Hzまで一定の音量で録音できています。ハイレゾに手が届きそうな勢いです。

 ただし、レコーダーやテープが変わると結果も大きく変わります。どのレコーダーでも、同じように録音できるとは限りません。

 カセットテープの録音には磁気を使うとご紹介しましたが、実際には磁気記録するために『バイアス』という音とは別の電流を流しています。その関係から、ここで使ったレコーダーは25,000Hzを境にグラフが下がっています。

 バイアスは超音波に相当する周波数の信号で、音の信号と十分離すために、カセットテープはこのようなグラフになります。

 

まとめ

 音が悪いというイメージがありがちなカセットテープですが、実は凄い能力を持っています。

 もちろん条件付きではありますが、記録できる音の高さではカセットテープが勝つ場合もあります。

 CDが発売された1982年は、CDプレーヤーだけでも十数万円したそうです。今は数千円でCDラジカセが買えてしまいます。数千円でそこそこ良い音を聞けてしまう時代です。

 残念ながら、カセットテープは数千円ではCDに敵いません。アナログは金額を掛けないと、CDには勝つのは難しいです。

 

 レコードもアナログを代表する物の1つですが、安いレコードプレーヤーではCDに勝てません。そのため、レコードプレーヤーに何十万と金額を投じる方もいらっしゃいます。

 アナログは天井知らずで、少々恐ろしい存在です。

 

 最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

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