西村音響店

カセットデッキのヘッドを掃除しよう!クリーナーではなく綿棒で。

 

皆様こんにちは、西村音響店の西村です。

カセットデッキの基礎を学ぶ「カセットデッキのいろは」シリーズ、第10回目でございます。

 

第9回では、カセットテープの要である録音を、実際にはどのように操作して録音するのかをご紹介いたしました。

「狙い通りの音になるまで、手間暇かけ、根気よく調整し、最高の音で録音できた時の喜び」

これはカセットテープでしか味わえません。

本当に最高の音で録音できるようになるためには、ひたすら試行錯誤です。たとえ取説を読んだとしても、実際やってみると、予想とは違ったりもします。カセットテープに限らず、どんな物事でも、これは同じだと思います。

 

 

さて、今回からは3回に分けて、これもまた、カセットデッキを使う上で大切なことである、お手入れの仕方を紹介していきます。

カセットテープを再生していると、音を拾うヘッド、テープを正確に送るためのピンチローラーとキャプスタン、それぞれ段々と汚れていきます。

カセットテープは、表面に磁石となる磁性体(じせいたい)というものが塗られており、僅かではありますが、これが剥がれ落ちて、ヘッド、ピンチローラー、キャプスタンに汚れとして付着してしまいます。

汚れてしまうと、音が悪くなったり、最悪の場合テープが絡まってしまう恐れもあります。また、掃除しないまま放置しておくと、汚れがどんどん付着していき、しまいには汚れを落とせなくなってしまう場合もあります。

そのためにも、普段から定期的に掃除をしておくことが大切です。

 

 

それでは、普段から行うべき、カセットデッキの掃除とはどのようなものか、具体的に見ていきましょう。

掃除のポイントは3つ。

 

1.ヘッドの掃除

2.ピンチローラーの掃除

3.キャプスタンの掃除

 

この3カ所は、テープが接触する部分で、再生すると徐々に汚れていきます。

この回をご覧いただいている方は、各部分の役割は既にご存知かと思いますので、詳しい説明は割愛しますが、もし説明をご覧になりたい方は、第1回でご紹介していますので、是非ご覧下さい。

今回は、1番目のヘッドの掃除です。

 

 

ヘッドは、カセットテープに記録された音を拾います。ヘッドが汚れたら、しっかりと音を拾うことができなくなるので、音も悪くなってしまいます。

私たち人間でいえば、「手が汚れていたら感触が鈍るから、手を綺麗にする」、「耳が汚かったら聞こえが悪くなるから、耳を掃除する」、こんな具合でしょうか。

人間には、センサーとなる無数の細胞がありますね。カセットデッキのヘッドも、磁石で記録された音を感じ取るためのセンサー、細胞といっても良いでしょう。

 

少々脱線してしまいました。ヘッド掃除の話へ戻します。

 

 

ヘッド掃除の仕方には、2種類あります。カセットクリーナーを使う方法、クリーニング液を使う方法です。

最初にどっちがお勧めかを申し上げると、断然後者です。

もちろん両者とも、メリット、デメリットはありますので、両方ご紹介しましょう。

 

 

 

◆カセットクリーナーを使う

 

まず、カセットクリーナーというのは、下の画像のように、ごく普通のカセットテープのような物です。ただ、テープが掃除用の特殊なテープになっています。

これは、現在も販売されています。電気屋だけでなく、ホームセンターでも取り扱っている場合もあります。もちろん普段は、お客様のカセットデッキをより良い状態にするために、クリーニング液を使っていますが、今回、紹介のために新品を買ってみました。

 

 

使い方は簡単です。

カセットを入れて、再生するだけ。

 

文字通り、カセットクリーナーは、とにかく簡単です。簡単というのが、メリットです。

しかし、デメリットも当然あります。

乾拭きなので、汚れが頑固な場合は落としきれなかったり、掃除の為に少しザラザラとしたテープを使っている関係で、ヘッドを擦り減らしてしまう恐れがあります。

ヘッドは擦り減るという話を、初めて耳にした方も、もしかしたら見えるかもしれませんが、現在のクリーナーは、擦り減りにくいように改良されているので、極度に心配しなくて大丈夫です。一昔前のクリーナーは、かなりザラザラしていて、繰り返し使ってしまうと、擦り減らす危険があったと思います。

ただ、現在のカセットクリーナーでも、「一度に3回までにしてください」と書かれているので、使うときは一応守りましょう。

 

 

◆クリーニング液を使う。

 

さて、続いてはクリーニング液を使う方法です。

画像のように、カセットデッキのお手入れ用に、こういったセットが販売されています。

普段使っているのは、日本綿棒さんのクリーニングキットです。綿棒、ヘッドクリーニング液、ローラークリーニング液といった、掃除に必須なものに加え、ヘッドの表面をチェックするためのミラーまでセットになっているという、なかなか豪華なセットです。

日本綿棒さん以外に、オーディオテクニカさんからも、同様のセットが販売されています。

 

 

やり方です。

まずは、扉を開けて、扉のカバーを天井方向へ引き上げて外しましょう。

カバーを外しておくと、掃除がしやすくなります。カセットデッキの殆どは、このように外すことができますので、覚えておくと便利です。

 

 

綿棒にクリーニング液を浸し、ヘッドを水拭きします。今回使うクリーニングセットだと、ピンク色の液体です。もう一つは、ローラー用なので、ヘッドには使いません。

水拭きをすることにより、頑固な汚れも落とすことができます。水拭きのあと、残った水分を拭き取るため、新しい綿棒で乾拭きをします。

録音再生ヘッドだけでなく、消去ヘッドも同様に行いましょう。消去ヘッドが汚れると、今度は録音のとき、前の音が消しきれないといった症状が出ることがあります。

 

汚れに対して、とても効果が高いのが、このクリーニング液ですが、デメリットもあります。それは、

 

 

面倒くさい。

 

 

面倒くさいというのが、悪く聞こえるかもしれませんが、先ほどのカセットクリーナーよりも、デメリットの数は少ないですし、むしろ掃除の効果が高いのでメリットの方が多いですよね。

汚れがしっかり取れれば、また綺麗な音が復活する。

多少面倒でも、クリーニング液を使う価値は十分あります。

 

 

 

いかがでしょうか。

カセットクリーナーを使うか、クリーニング液を使うか。

高性能なカセットデッキであれば、断然クリーニング液がお勧めです。

じゃあ、カセットクリーナーは何のために売っているのか。

例えば、カーオーディオ。今ではすっかり廃れてしまいましたが、カセットデッキのように、クリーニング液で掃除ができない場合には、クリーナーを使う方法に限られてきます。また、掃除がしにくいラジカセにも、需要があると思います。そもそも、まだ販売されているということは、需要はあるはずです。

 

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

次回は、キャプスタンとピンチローラーの掃除について、お話します。

 

第11回はこちら

 

 

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