カセットデッキのいろは 第47回
どうも、こんにちは。こんばんは。西村音響店の西村です。
音響店のブログをご覧くださり、ありがとうございます。
カセットテープを使ったことのある皆さんであれば、これをご存知でしょう。
消したらまずいテープは爪を折っておけば、間違って音を消してしまうことを防げます。
特に、昔に放送されたラジオの録音や、大切な人の声は、消してしまったら大大大ショックですね。
さて、今回は『カセットテープの爪』について、少し深堀りしてみたいと思います。
なぜ爪を折ると、録音ができなくなるのでしょうか?
インターネットが当たり前になったのに、今さら? ですが、その仕組みをご紹介します。
目次
爪が折れているか否かの判断方法
カセットデッキには、画像のような突起がついています。
カセットテープを入れる部分の上側についていて、ちょうど爪の位置に取り付けられています。
一番左側の突起が、爪の状態を判断します。隣にも突起がありますが、これはテープの種類を判断するためのもので、録音防止の役割ではありません。
この突起によって、爪が折れているか否かを判断しているのです。
40年以上前のカセットデッキでも一緒です。どんなカセットデッキでも、同じ位置に爪の状態を判断する突起があります。
爪を折ると、なぜ録音できなくなる?
爪を折ると録音できなくなる仕組みは、大きく分けて2種類の方法があります。
物理的にボタンを押せなくする
爪が折れていると、レバーが連動して録音ボタンを押せないようにロックするタイプです。
1970年代のカセットデッキや、安価なラジカセなどに多く採用されています。
いわゆる鍵盤状のボタンになっているカセットデッキが、この方法です。
電気的にボタンを反応させなくする
録音ボタンを押しても、録音スタンバイの状態にならないタイプです。
コンピューター(マイコン)を使っているカセットデッキが、これに該当します。1980年年代に入ってからは、この方式が多くなりました。
爪の状態を判断する突起と連動して、スイッチのON/OFFを切り替えます。爪が折れているとスイッチがOFFになり、マイコンが録音ボタンを無効にするという仕組みです。
セロテープを貼るときは、隣の穴を塞がないで!
爪が折られたテープに、再び録音したいときは、爪のあった部分をセロテープなどで塞げばOKです。
ただし、
隣の穴は塞がないでくださいね!
テープによっては、折った爪の位置の隣にも穴が開いています。穴がある場合は、ハイポジ、もしくはメタルテープです。
カセットテープは、種類によって電気的な設定を切り替える必要があります。それを自動で行うために、爪の隣にも穴が開いています。
もし、隣の穴まで塞いでしまうと、設定が正しくされず、音割れ(歪み)だらけの音で録音されてしまいます。また、上書き録音をする際にも、古い音が完全に消えずに残ってしまいます。
高級テープになると、かわった爪もあります。
カセットテープの爪は、一般的にはドライバーなどで「ぽきんっ」と折ります。が、高級なテープになると、爪を折らなくてもよい物があります。
それが、こちら。
爪の代わりに、青色のコの字形をした部品があります。これをひっくり返すことで、爪を折った状態にしたり、爪が折れていない状態に戻したりできます。
高級品だけあって、セロテープを貼らなくてもよい工夫が施されています。
ただ、部品を無くしたらセロテープですけどね(笑)
まとめ
今回は『カセットテープの爪』についてのお話でした。
ちなみに、録音防止機能を搭載したのは、カセットテープが最初だと言ってよいと思います。
カセットテープの前は、オープンリールという剥き出し状態のテープでした。毎回毎回プレーヤーにセットする必要があり、その手間を省いたのがカセットテープです。
しかもテープをケースの中に収めた事におまけして、録音防止機能まで搭載できたという画期的な商品だったことと思います。
今ではデジタル方式で、録音や書き換えができないようにロックを掛けることができます。
ですが、ロック機能自体は昔から存在したことには、あまり関心がないかもしれません。録音をロックできるのは当たり前になっているからだと思います。
カセットテープは、録音防止機能のパイオニアです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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