カセットデッキのいろは 第48回
どうもこんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。
音響店のブログをご覧くださり、ありがとうございます。
カセットデッキには、音量を表示するメーターがついています。さすがに安いラジカセには付いていませんが…
オーディオ用のカセットデッキには殆ど付いていると思います。
さて、ここで質問です。
同じ0dBでも、メーカーによって違います。
カセットテープの録音で、目安となるレベルが0dBです。
しかし、実際はカセットデッキによって、同じ0dBでも全く信号レベルが違います。
例えば、こんな状況です。
A社製とB社製の2台のカセットデッキがあるとしましょう。
まずA社のデッキで、0dBの音量で録音しました。メーターも0dBを指していました。
ところが、録音したテープをB社のデッキで再生すると、なぜか+4dBまでメーターが振れます。
B社のデッキがおかしいのかな?と思うかもしれませんが、これで正解です。
理由は、どれくらいの信号レベルを0dBに設定すればよいかが、特に決まっていないためです。
極端な言い方をすれば、メーカーが都合の良いように決めてもOKという事なのです。
メーターの読み方は、
規格で決められている信号レベルがポイント。
それでは、新しいカセットデッキを買ったときに、
「このデッキのメーターは、
A社のタイプなのか?それともB社のタイプなのか?」
どうすれば判るでしょうか。
ポイントは『0VU(ゼロ・ブイユー)』と『ドルビーレベル』です。
別の呼び方では、基準録音レベル、規定録音レベルとも呼びます。
この2つは、規格で厳密に信号レベルが決められています。
多くの場合、カセットデッキのメーターには、『0VU』もしくはドルビーマークがあります。
つまり、どちらかの指標がメーター中のどこにあるのかが、メーターを種類を見分けるポイントになるわけです。
では、先ほどのA社とB社のカセットデッキで例えてみましょう。
まずA社のメーターには、-4dBの位置に『0VU』の表記が、-2dBの位置にドルビマークがあります。
※ドルビーマークの正確な位置は、-2dBと-1dBの中間です。
一方、B社のメーターは、『0VU』の表記はありませんが、+3dBの位置にドルビマークがあります。
両者のドルビマークの位置に注目してください。
A社が-2dB、B社が+3dBです。
ドルビマークの信号レベルは厳密に決められていますので、A社の-2dBとB社の+3dBの信号レベルは、どちらも同じということになります。
よって、B社の方が5dB高く表示されるというわけです。
ということは、B社に「0VU」の表記がなくても、ドルビマークの位置から、
「B社のデッキは0VUが0dBに設定されているんだな。」
と読み取ることができます。
録音するときもメーターの読み替えが大事です。
カセットデッキのメーターには他に、録音の最大レベルの目安が表示されています。
では今度は、B社とC社のデッキで例を挙げましょう。
B社のデッキでは、ノーマルテープ(TypeⅠ)の最大録音レベルは、+7dBが目安となっています。
一方、C社のデッキは、+3dBが目安となっています。
このように、メーターの0dBに設定している信号レベルが違うと、録音レベルの目安も変わってきます。
ここで問題です。
C社のデッキで、『0VU』の信号レベルに相当するのは、メーター上で何dBでしょう?
正解は、-4dB。
先ほど、A社のメーターで、ドルビーマークが-2dBの位置にあったことを思い出してください。
C社は1dB高い、-1dBにドルビーマークがあります。
すると、A社の-5dBが『0VU』であれば、C社のメーターでは-4dBが『0VU』ということになります。
『0VU』の表記がなくても、ドルビーマークを手掛かりにして推測することが可能です。
まとめ
今回はカセットデッキのメーターで、同じ0dBでもデッキによって実際の信号レベルはまったく違うということをお話ししました。
特に、2台以上デッキを持っていて且つメーカーが違う場合は、今回の問題でちょっと混乱してしまうかもしれません。
ポイントは、『0VU』もしくはドルビーマークを基準にして、メーターを読むことです。
「ノーマルでも+6dBまでぶち込めるから、B社に決まってるだろ!」
というのは少し違いますので、どうぞ気を付けてください。
A社の+2dB、B社の+6dB、C社の+3dBは同じ信号レベルです。
A社で本当に+6dBまでぶち込めたら、そのノーマルテープが高性能すぎます(^^;
実際にありますが…
その他にも、ピークレベルメーターとVUメーターの違いがあるなど、カセットデッキのメーターは謎がいっぱいです。
しかし、この謎が解けたら、あなたはベテランです(笑)
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。