カセットデッキの2ヘッドと3ヘッドの違いは何ぞや?


皆様こんにちは、西村音響店の西村です。

 

カセットデッキの基礎を学ぶ、「カセットデッキのいろは」の第2回目。今回は、ヘッドの数の違いを取り上げます。

第1回目は、録音と再生に欠かせない4つの部品、録再ヘッド、消去ヘッド、キャプスタン、ピンチローラーをご紹介しました。

 

今回は、ヘッドに絞って、2ヘッドと3ヘッドの違いは何?というテーマです。

何が違うか、答えから言いますと、単にヘッドが何個あるかです。難しく考えず、2ヘッド=普通のデッキ、3ヘッド=高性能デッキ、と思っていただいて結構です。

じゃあ、1ヘッドもあるのか? ― あります。これは再生しかできません。デッキが2つ付いているもので、片方だけ再生専用となっているものがあります。片方だけ録音出来ればよいのであれば、もう片方を再生専用にして、製造コストを抑えることができます。

 

カセットデッキに精通している方だと、2ヘッド機、3ヘッド機、なんて呼んだりします。ちなみに、2ヘッド、3ヘッドの呼び方は、「ツー・ヘッド」、「スリー・ヘッド」と呼びます。人によっては、日本語で「に・へっど」「さん・へっど」と呼ぶかもしれません。私は、前者を使っています。

書籍や取扱説明書だと、2ヘッド式、3ヘッド式、などと記載されています。

まぁ別に細かい部分は、気にしなくて大丈夫です。大事なのは、の数字ですから。

 

 

 

では、実際のデッキを写した画像で、2ヘッドと3ヘッドの違いを見てみましょう。

 

1.2ヘッド

①録再ヘッド ②消去ヘッド

カセットデッキで、最も基本となるのが、この2ヘッドです。録音と再生を1つのヘッドで行い、消去を専用のヘッドで行うというものです。音を消す作業と、音を記録する作業は、必要なエネルギー量が違いますから、別々にヘッドを設ける必要があることを、第1回目で解説しました。

これといった特徴は、あまりありません。いわゆる、普通のカセットデッキですが、すべてのカセットデッキにおいて、この基本構造が基になっています。音質は、次の3ヘッドよりかは劣るかもしれませんが、良い意味でカセットテープらしい音が出るので、こちらを好む方もいらっしゃいます。

 

2.3ヘッド

①再生ヘッド ②録音ヘッド ③消去ヘッド

先程の2ヘッドは、1つのヘッドで録音と再生を行うものでしたが、より高性能なデッキでは、録音用と再生用が別々になります。基本的には、2ヘッドよりも音質が良いです。再生専用のヘッドを設けることで、テープに記録された音を漏らすことなく読み取ることを重視しています。

また、3ヘッドでしか得られないメリットもあります。ヘッドが別々になったことで、それぞれ独占して使う事ができます。

人間に例えて解説してみると、録音の仕事をする人と、再生の仕事をする人がいるとします。ここでいうヘッドは、仕事をするための部屋と思っていただければ結構です。

2ヘッドの場合、仕事で使える部屋が1つしかありませんから、録音で使っている最中は、再生の仕事が出来ません。つまり、片方どちらかしか部屋が使えません。

3ヘッドの場合、録音係、再生係、それぞれに部屋が与えられていますから、録音中も、再生の仕事をしてもよいわけです。ということは、録音した音を、同じタイミングで、再生も行うことが出来ます。これが3ヘッドの特権です。

話を戻しますと、3ヘッドは、録音した音を、ほぼ同時に聞けるという特権を持っているわけなんです。ですので、録音出来ているか、一々巻き戻して確認しなくてもいいんです。

 

まとめましょう。

●2ヘッド ―

・録音と再生を1つのヘッドで行う。

・カセットデッキの基本となる構造である。

3ヘッド ―

・録音と再生は、別々のヘッドで行う。

・音質が良い。

・録音した音を、同時に再生することが出来る。

 

 

そんじゃあ、3ヘッドの方が圧倒的に良いじゃないか。―

ちょっと待ってください。2ヘッドには、2ヘッドの戦略があるんです。

 

次は、オートリバースのお話です。

 
第3回はこちら
 

カセットデッキの録音再生で重要な4つの部分とは?


皆様こんにちは、西村音響店の西村です。

初心者向けに、入門者向けに、「カセットデッキのいろは」と題して、カセットデッキの基礎を学ぶというものを、シリーズとしてご紹介していきます。私自身も、初心に帰ってみるという目的もありまして、既に修理をやっている方々も、復習の意味で是非及び頂ければと思います。

今回は、第1回目として、録音と再生に欠かせない部分をご紹介します。

書籍や取扱説明書によって、多少呼び方に違いがあるかもしれませんが、昭和55年に発行された専門書を参考にご説明していきます。結構古いですが、図書館にあったりするので、図書館は重宝します。

 

まずは、こちらの画像をご覧下さい。

カセットデッキでは、一番オーソドックスなもので、基本となる構造です。高級な物になると、余計なものが付いたりしますが、安いラジカセや、テープレコーダーは、殆どこれと同じと思っていただいて結構です。

カセットテープの録音と再生に重要な部品は、矢印で指している4つの部品です。では、順番に詳しく見ていきましょう。

 

1.録再ヘッド

カセットテープに記録された音を読み取る部品です。これ一つで、音の記録(録音)と、音の読出し(再生)を行うことから、「録再(ろくさい)ヘッド」と呼ばれます。単に「ヘッド」と呼ぶこともあります。ヘッド=テープの情報を読み書きするものと捉えていただければ大丈夫です。

 

2.消去ヘッド

先ほどの録再ヘッドとは別に、もう一つヘッドが付いています。こちらは「消去(しょうきょ)ヘッド」と呼びます。その名の通り、テープに記録された情報を、消すためのヘッドです。録音する時に使います。ここで完全に音を消してから、先ほどの録再ヘッドで、音を記録します。

なぜ、消去用のヘッドが別にあるか。理由は、データを消すには、沢山のエネルギーが必要だからです。

身の回りにあるものを例に挙げてみると、鉄製のクリップ2つと、先端がマグネットになっているドライバーがあるとします。最初、2つのクリップを近づけてみても、くっつきません。しかし、片方のクリップをドライバーに一旦触ってから、再度2つのクリップを近づけてみると、あら不思議。なぜか、くっつくようになってしまいます。

これが、テープの録音の原理です。少し難しい言葉では、磁化(じか)といいます。磁石の強弱を使って、音を記録しているというわけです。

では今度は逆に、2つのクリップが完全にくっつかないようにするには、どうすればよいか。これは、専用の機械が無いと不可能です。カセットデッキも同じで、情報を消すための専用のヘッドが必要なんです。

テープの記録と消去では、必要なエネルギーの量が全く異なるため、別にヘッドを設ける必要があるというわけですね。

3.キャプスタン

銀色に光っている金属の棒です。これは「キャプスタン」と呼びます。録音中、再生中は、常に同じ速さで回転しています。再生スピードを決めているのが、このキャプスタンです。これと、次のピンチローラーがあることで、安定した音が聞こえてきます。

 

4.ピンチローラー

キャプスタンの下側にあるゴム製のローラーを、「ピンチローラー」と呼びます。テープを、先ほどのキャプスタンと挟み込むことで、常に同じ速度でテープを送る役割を担っています。

カセットテープの再生は、常に同じスピードでテープを送り出してあげる事が、とても大切です。

 

まとめましょう。

  1. 録再ヘッド   ⇒ 音を記録する、音を読み出す
  2. 消去ヘッド   ⇒ 音を消す
  3. キャプスタン  ⇒ 再生スピードを決める
  4. ピンチローラー ⇒ テープを送る

 

 

少し性能の良いカセットデッキになると、録再ヘッドだったのが、録音用と再生用、別々のヘッドになります。この場合は、それぞれ「録音ヘッド」「再生ヘッド」と呼びます。

次は、録再ヘッドに絞って詳しく見てみましょう。

 

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