どうもこんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。
音響店のブログをご覧くださり、ありがとうございます。
今回の話題は、当たり前の事かもしれません。
皆さんは、カセットテープを取り出すときは、必ず停止してから取り出しますよね。
が、もし録音or再生中に取出しボタンを押してしまったら…というテーマでお話しします。
どうなるのかというと、
- 扉がロックされておらず、開いてしまう。
- ノイズが入ってしまう。
の2種類があります。
取出しボタンがロックされておらず、
開いてしまう。
1970年後半ごろの機種には、再生中も取出しボタンがロックされないものが存在します。
カセットデッキの中でも、扉の開け閉めが手動のタイプは、再生中に取出しボタンを物理的にロックするものが多いです。このようなデッキは、押そうとしても押せません。
では、ロックされないタイプのデッキは、一体どのようなものでしょうか。
例えば、Lo-D D-E90。この機種は、再生中もロックされていません。
このようなデッキは、マイコンを搭載した初期のデッキに多く存在します。
マイコン搭載のデッキは、ボタンがロックされない代わりに扉の状態を検知するスイッチが付いています。開いている時は操作を受け付ず、ボタンを押しても反応しません。また、扉が開いた状態になると、即座に停止状態にする動作をします。
つまり、再生中にも即座にテープを取り出すことが可能なのです。
ですが、ロックされていないので、例えば、一生に一度しかないラジオ番組を録音している最中に、誤って取出しボタンを押したらどうなるでしょうか?
恐らく、悲惨な事になるでしょう(苦笑)
さて、ここでなぜロック機構が付いていなかったのか、考察してみます。
鍵盤状のレバーではなく、マイコンを組み込んで小さなボタンで操作するようになったのが、1970年代後半です。
元々、鍵盤レバーで操作するタイプは、再生中はヘッドが上がっているため、取り出そうと思っても物理的に取り出せません。したがって、ロック機構は必要ありません。
そしてマイコンを搭載したカセットデッキが登場するのですが、なぜかロック機構が付いていないデッキが発売されました。
なぜこのような経緯になっているのか、僕もあまり見当がつきません。
もともとカセットデッキには取出しボタンのロック機構が無かったので、マイコンを搭載した初期の頃は想定外だったのかもしれません。
むしろ、素早くテープを取り出せる利点を追求したのかもしれません。
ただ、後になってロック機構が取り付けられたのは、誤って操作する危険があったからではないかと思います。録音が途中で切れてしまうのは誰しも怖いですね。
1本1,000円以上するメタルテープの録音は、出来れば一発で成功させたいと、皆さんお思いのはずです。
ノイズが入ってしまう。
この現象が少し厄介です。
再生中は取出しボタンがロックされているのですが、無理に押すと、「プツッ、プツッ」というクリックノイズが混入することがあります。
この原因は、テープのポジションを自動で切り替えるための検出用スイッチが関係しています。
1980年代に入って、カセットテープにある穴の数から、ノーマル・ハイポジ・メタルを自動で切り替えるものが登場しました。いわゆる、オートテープセレクターです。煩わしい操作が減って、利便性が非常によくなりました。
しかし、再生中に何らかによってポジション選択が変わってしまうと、ノイズを発します。考えられる原因としては2つです。
- スイッチの接点から電磁波が出て、磁気ヘッドを経由して混入する。
- 回路が切り替わる瞬間に、電圧の変動で混入する。
実際にその現象を再現させてみました。
しかも厄介なことに、再生中にも関わらずノイズがテープに記録されてしまいます。録音状態ではなく、再生中です。
これがもし、某アルミダイキャストのメタルテープだったり、某全身セラミックのメタルテープだったりしたら…
またまた悲惨な事になりそうです(苦笑)
さいごに
今回は、カセットデッキのイジェクト(取出し)についてのテーマでした。
当たり前のことですが、かといって、ロックされているから大丈夫と油断するのは禁物です。
必ずしもすべてのカセットデッキに当てはまる事ではありませんが、中には痛い目にあうデッキもあります。
最も確実なのは、電動開閉のパワーローディングです。
しっかり停止状態になってから扉が開くので安全ですし、録音中はボタンが反応しないという仕様なら完璧です。
でもなぜか、早送り・巻戻しのボタンは録音中も反応するので、僕としては大丈夫かな?と感じるところです。録音が途切れるのは痛手ですからね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ノイズ混入を動画で解説しています。