西村音響店

A&D GX-Z5300修理◇安いモデルなら整備しやすい…えっ違うの?

 

今回は。カセットデッキの修理における「整備性」に着目してご紹介していきましょう。

 

整備性…大事です!

 

この「整備性」という単語は、よく自動車関連で耳にします。いわゆる、修理やメンテナンスのしやすさをひっくるめて整備性と言ったりします。

例えばメンテナンスしやすい車だったら、「整備性が良い」なんていう風に言いますね。

特に自分で車を弄ったりする人には、整備性の良さに目がいくと思います。

 

さて、カセットデッキにおける整備性。

そもそも家電製品に整備性なんていう概念は、まったくと言ってよいほど無いと思います。

しかし、往年のカセットデッキはどれも製造から3~40年経ったものばかり。当然ながらメーカーで修理は不可能ですし、一応新製品もありますがお世辞もちょっと…というスペックです。

となると、自分でメンテナンスする必要性が今になって出てきています。

 

今回ご紹介するデッキはA&DのGX-Z5300。はたして整備性は良いのでしょうか?それとも良くないのでしょうか?

ちなみにこのデッキは、当時の定価5万円以下のモデルです。カッコイイ言葉を使うなら、エントリーモデルでしょうか。

 


◆CAUTION!
ご自身で修理に挑戦される方は、どうぞ自己責任でお願いします。万が一、デッキが修理不能になったり、感電や火災などの事故が発生しても、申し訳ありませんが責任はとれません。

 

メカニズムを外すまでが長い…

さっそく分解していくのですが、早々に整備性の悪さを突き付けられるような

前面のパネルを外すのですが、これが何とも厄介。

まず、このディスプレイや操作ボタンがある基板を外すところから。厄介なことにパネル側に固定されています。

普通なら基板がデッキのボディの方に固定されていて、パネルは単にネジを緩めるだけで外れてくるのですが、コストカットのためなら仕方ない!

1990年頃のアカイの苦しさがよく伝わってきます。

 

なんとかこのようにパネルが外れるのですが、なぜか操作ボタンが分離してしまうという不思議な構造になっています。

こりゃ、今度取り付ける時に大変です。ツメなどで固定するわけでもないので、パネルを傾けたりしたら落下します。

 

もう一点。パネルを外すときは、カセットホルダーを開けておく必要があります。

丸で囲った部分にちょうどメカニズムが位置するのですが、橙色のランプもパネルと一体になっています。なので、カセットホルダーを開けた状態で上手いことかわしながら、パネルを外すという格好です。

そして、またまた厄介なことに開閉が電動式。うっかり忘れると、一旦電源を入れてあげなくてはならないので、

1つ前のモデルのGX-Z6100の方が、整備性は圧倒的に良いです。

 

でも分解はけっこう簡単。

さて、メカニズムの取り外しは長かったですが、ここからは簡単です。

(簡単ですと言ったら変かもしれませんが…)

色々なカセットデッキと比べると部品点数も少なくて、分解にかかる時間も比較的短いです。

GX-Z5300に搭載されているメカニズムは、アカイが設計したメカではありません。サンキョーメカと聞いてピンと来る方は、けっこうお詳しいと思います。

このデッキに限らず、他のメーカーのデッキにも使われている、いわゆる汎用品的なものです。これも恐らくコストカットのためでしょう。

特に平成生まれのカセットデッキは、各社ともコストカットを漂わせるようなデッキが多いです。

 

すべての部品を分解するとこのようになります。

沢山の部品が並んでいますが、実は少ない方です。普通は作業台がぎっしり部品で埋まります。

 

パワーローディングの機構です。確かに電動で開閉できると高級感が出ますが、いくらなんでも5万円以下のデッキに付けなくても…

一つ前のGX-Z6100は開閉が手動ですが、メカニズムの構造はまったく同じです。つまり、パワーローディングの仕組みだけ後付けしたという形になります。

でもどうでしょう。そもそもパワーローディングって本当に必要でしょうか。

個人的は面白いギミックとして歓迎しますが、電源OFFでは開かないことが最大の欠点です。あと万が一、テープが絡まったときも手動の方が安全です。電動だとモーターが暴走しちゃいますからね。

結局は好みの問題になるかもしれません。

 

自分で修理するなら整備性の良さも大事

いざ分解を始めたらメチャクチャ複雑だった…なんてこともあるかもしれません。

僕も自分でカセットデッキを弄りはじめた頃はよくありました。せっかく欲しかったデッキなのに、予想以上に難しくて寝ることを忘れてしまったとか…

他の人のブログなどで事前に予習しても、なかなか実際にやるとなると難しさに諦めかけてしまうこともあるかもしれません。

 

さて最後にまとめると、機種によってメカニズムの設計は全然違いますので、整備性や壊れやすさにも差が出できます。

①整備性は良くないけど、壊れにくい。

②壊れやすいけど、整備性は良い。

③壊れやすいし整備性も悪い(←いちばんヤバい)

④壊れにくいし整備性も良い(←だいたいは安いモデル)

 

僕としては②が好みです。理想は④ですが、なかなか機種も限られてきますね。

④は高級デッキではあまり見たことがありません。整備性が良い高級デッキは、だいたい壊れやすい設計になっている傾向があります。細いベルトを使って劣化しやすくするとか、俗に言うなんちゃらタイマーではないですが…

このサイトでも、撮り貯めた写真をたくさん載せていますので、修理前の予習などに活用いただければ嬉しいです。

 

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