マイクロスコープで見るカセットデッキのヘッド◆何のデッキでしょう?

 

皆さんこんにちは。西村音響店です。

カセットテープを再生したり録音したりするために、絶対に欠かせないもの。それが磁気ヘッドです。カセットデッキの扉を開けて中を覗くと真ん中に見えます。

同じヘッドでも、メーカーや機種で、色、形、音質、etc…色々な違いがありますから面白いですよね。中でも、耐摩耗性はデッキの生死に掛かっていますので、できれば気にしたくないけど避けて通れない問題です。

 

さて、今回のテーマは… 

一体、ヘッドの表面ってどうなってるの?

普通にカセットデッキの扉を開けてみると、ただ模様が描かれているだけに見えます。でも実は、どアップで観察してみると、なぜテープに記録された音を拾えるかの秘密が分かります。

そこで今回の主役は、マイクロスコープです。若干、商品紹介のようなニュアンスもありますが、今回ご紹介するマイクロスコープは、安く気軽に使えるところがポイントです。

ぜひ一度、お持ちのカセットデッキで試して欲しいアイテムです。カセットデッキの楽しさがUPする遊び道具になるだけでなく、デッキの点検でも大いに役立ちますよ。

 

 

3000円でお釣りがくるお手軽スコープ

今回ご用意したのは、アマゾンで販売されているこちらのマイクロスコープ。

USBケーブルでパソコンもしくはandroidのスマートフォンに接続し、専用のアプリをダウンロードして使います。最大倍率は1600倍です。1600倍というと毛穴までくっきり見えてしまうレベルです。

これで3,000円もしません。僕が購入した時は2,380円でした。本格的な顕微鏡もありますが、やっぱり高い…なおかつ、レンズが本体に固定されてしまっているので、用途が限られそうです。

しかし、今回のマイクロスコープは、手に持って自由に動かすことができるので汎用性が高いです。カセットデッキのヘッドに限らず、身近なものをマイクロスコープで観察してみるのも面白いと思います。

 

実際に使っている様子がこちらです。ここではパソコンの画面に映しています。

アプリを画面いっぱいに表示すれば、まさに電子顕微鏡で見ているような感覚です。

カセットデッキの扉を開けて、このようにマイクロスコープを突っ込めば大画面で見ることができます。カメラの先端にはLEDライトが付いていますので、別な明かりも用意する必要はありません。

ただマイクロスコープを突っ込めばOK。あとは、画像がくっきり映るようにピント調整をします。

 

 

撮影画像をご紹介。さぁ、何のデッキでしょう?

それでは、マイクロスコープをカセットデッキのヘッドに向けてみましょう。はたしてどのように映るのか?実際に撮影した画像をクイズ形式で5枚紹介します。

ぜひ、何のデッキかを予想しながらご覧ください。

正解は各画像をクリック!

第1問

まずはこちら、3ヘッドのデッキで多く見られる模様をしています。でも、青い点々のことをご存知でしたら、もうピンと来るかもしれません。

ちなみに青い点々をご存知の方は、赤い点々のバージョンがあることもご存知だと思います。ある年から赤色に変わります。

僕が確認している限りですと、1998年製のデッキが赤色の点々が付いたヘッドが搭載されているのを確認しています。

そして、このモデルだけはヘッドの側面に金メッキが施されています。金メッキの効果は実感がありませんが、なによりもプレミアム感が凄いですね。

 

第2問

だいぶくたびれている様子ですが、こちらも知っている方ならピンと来るかもしれません。摩耗しやすいと云われているあのヘッドです。

録音ヘッと再生ヘッドの間にあるすき間が、独立懸架型の証しです。重低音から超高音域までキレッキレな音を出してくれる素晴らしいヘッドですが、摩耗しやすいのが残念…

もしこのヘッドを搭載したデッキをお持ちの方は、これからも大事に使っていきましょう。

 

第3問

今度はブラックメッキのような色をしています。黒く光るヘッドと言えば…あのメーカーです。「ア」から始まる…ではなく、実はTEACです。

AKAIのデッキだと思った方、ごめんなさい。実はTEACにも、似たようなヘッドを使っているデッキがあります。

1980年前後の3ヘッドモデルで使われているヘッドです。耐摩耗性も比較的良く、僕も気に入っているヘッドです。ただ、よく見るとわずかに擦り減った跡とみられる段差があるので、スーパーGXヘッドと比べると若干減りやすいのかな?という印象があります。

 

第4問

先ほどとは違う模様をしています。さっきの3つは、ヘッドの前の方にシマシマ模様がありましたが、今度は全体にシマシマ模様があります。ヒントは、カセットデッキの頂点といったら…あのメーカーです。

オートリバースデッキというと、A面からB面に切り替えるときにヘッドが180度くるっと回転するものが一般的です。でも中には、このようにマルチトラックヘッドと呼ばれるヘッドを搭載して、回転させなくてもよい構造にしたオートリバースデッキも存在します。

マルチトラックヘッドを使ったオートリバースデッキは、テープを送る方向だけ逆転させればよいので、A面からB面への切換えが一瞬です。でも中には、切り替えの速さよりも音質を重視することを目的にして、マルチトラックヘッドを使っているデッキも存在します。その1台が、これです。

 

第5問

最後はこちら。色は3問目と同じ、ブラックメッキのような色です。またまたユニークな模様をしていますね。

パッと見は2ヘッドのような姿をしているところが大きな特徴です。専門用語では「シングルピーク型」と分類されます。(対義語は「ツインピーク型」)

画像で見る限り摩耗もあまり見られず、アカイのスーパーGXヘッドと同じように耐摩耗性の良さも兼ね備えているのではないかと思います。

 

 

磁気ヘッドの秘密は、垂直に入った傷にある。

さて、マイクロスコープで撮影したヘッドの画像を5枚紹介しました。肉眼では絶対に見えない細かな傷、汚れ、錆びなどもくっきり確認できます。

ですが、もう一カ所注目していただきたいポイントがあります。

再び、第1問の画像です。矢印の部分に注目すると、なにやら一直線に傷のようなものが入っている様子が確認できます。ここにテープに記録された音を拾うための秘密があります。少し理科っぽい話になりますが、「電磁誘導の法則」がキーポイントです。

これはギャップと呼ばれていて、直訳すると「隙間」です。ただ、隙間といっても数μmしかありませんので傷のように映ります。

カセットテープを送っている時に、磁気がある部分がギャップの部分を通ると、本当にごく小さな電気ですが発電されます。(外からは見えませんが、中にはコイルが入っています。)発電された電気がアンプで増幅されて、我々の耳に届くという仕組みです。

録音の場合は逆の事をすればOKです。ギャップの部分に磁気を発生させてあげれば、テープに記録することができます。

 

ところで、少し話が飛びますが、AKAIのツインフィールド・スーパーGXヘッドはご存知ですか?録音再生兼用のヘッドながら、録音用と再生用でギャップを別々に設けているというユニークなヘッドです。

では、本当にギャップが2個あるのでしょうか?マイクロスコープで確認してみました。

おぉ~、ちゃんとありますね。

向かって右側の方が筋が太いです。ということは、録音用のギャップです。

一般的な2ヘッド方式はギャップが1つしかなく、れっきとした録再兼用ヘッドとなっています。しかしギャップを別々に設けることで、3ヘッドと錯覚してしまうような音質で耳に届けてくれます。

 

 

常備しましょう。ヘッドの状態をしっかり診るためにも。

「クリーニング液と綿棒できれいになった!」と思いきや、実は肉眼では見えないホコリがヘッドの表面に付着しているかもしれません。そんなホコリもマイクロスコープなら逃さず確認できます。

さらに、ヘッドの宿命と言ってもよいかもしれませんが、摩耗のチェックにも威力を発揮します。できれば…摩耗している様子は見たくないですけどね…

ジャンク品を買って楽しんでいる方なら、「ジャンクを買ってきたらマイクロスコープでチェック!」<という活用方法もよいと思います。僕も、修理する時には活用しています。あまりに綺麗な状態だと思わず「おぉ~...」と感動してしまいますね。 ぜひ、クリーニング液や綿棒と一緒にメンテナンス道具として置いておくのはいかがでしょうか。     [mo][pc]