中古カセットデッキの入手方法といえば、色々ありますね。
一番メジャー?かはわかりませんが「○○オク!」。次に、青と黄色のなんちゃらOFF。
他にも地元のリサイクルショップだったり、高いけどオーディオ専門店だったり。
今はネットで簡単に探せますし、スマートフォンアプリを上手く使えば新着の出物を知らせてくれたりと、大変便利になっていますね。
さて、今回は新たにカセットデッキを購入したというお話で、若干プライベート混じりな話になってしまうが多いかもしれません。もしお時間がある方は、お付き合いいただけると嬉しいです。
デッキの存在を知ったきっかけはJから始まる某掲示板です。基本的に直接お会いして受け取るのが基本のプラットフォームですが、その移動距離実に…
片道600km以上!
普通なら宅配便で送ってもらった方が楽なところですが、出物がかなり奇跡的な状態ということで直接伺うことに。
まぁ最終的には宅配便使いましたが…(;´∀`)
今回はご縁があってわざわざ遠くまで足を運び、カセットデッキを引き取りに行った時のお話です。
電車でひたすら西へ
さて、片道600km以上の道のりをどう移動するかですが、あいにく僕は車を持っていません。ということで、移動手段は公共交通機関になります。
飛行機や新幹線が一番早いですが、せっかく行くのであれば目的地にワープするのではなく、道中も楽しみながら行きたいところです。というわけで選んだ手段は普通列車。(乗り鉄ということがもうバレバレですが…)
移動中の様子は動画で紹介しています。完全に鉄道動画になってしまいました(*´▽`*)
かれこれ13時間、電車に乗りっぱなしのまま、たどり着いたのは愛媛県の松山駅。改札を出たのは夜の8時過ぎです。もちろん、日帰りは無理なので1泊2日のプランを立てました。
駅前でお相手の方とご対面。オーナーの家族の方です。宿泊するホテルが近かったため、ありがたいことに車でホテルの入り口まで運んでくださいました。
お札が入った封筒をお相手の方に渡し、ずっしり重たい大きな箱を受け取りました。
・・・
「そうですね、カセットテープが好きな人が集まってきて動画を見ていくという感じですね」
「今回のやつも動画載りますよ」
「ほんとですか?(笑)」
・・・
「そうですかぁ」
「椿の湯は開いていると思います。」
「それじゃあお湯だけでも浸かってきますかね」
・・・
こんな雑談を交えながら、無事にお取引を終えました。
さて、今回のお目当てだったデッキは、こちらです。
TEAC A-450
1972年発売で、当時のTEACのカセットデッキでは最高峰モデルとしてラインナップされたモデルです。
以前に読者の方からA-350をお借りしたのですが、かなりの刺激を受けたためか、ちょうど1970年代のデッキを探していたところでした。
ただ、A-450自体はオークションでも出てきます。しかし、僕が直接引き取りに行くことになった理由がこちら。
なんと、元箱付きです!
今回、わざわざ丸一日かけてでも直接引き取りに行った理由は、奇跡的に元箱までセットになっていることでした。できるだけ箱も綺麗な状態で保存したいということで、こんな長旅を決行するに至りました。
そもそもお相手の方も「直接引き取りに来てくれる方にお譲りします」とのことでしたので、そうなればもう自ら行くしかありませんね。
普通だったらまずこんな遠くまで取りにはいきません。それでも行きたいという気持ちになったということは、それだけ心が動いた証とも言えそうです。いま振り返ってみても、ここまで心が動いたのは久しいです。
「あぁ~これ欲しいなぁ」ではなく、「これは残さねば!」と謎の責任感が出てきてしまいましたね(笑)
さらには取扱説明書も付いています。ここまでフルセットの状態で残っていることには驚きました。もちろん、ダストカバーや純正の梱包材までしっかり付いています。
45年以上前の箱ということで結構くたびれています。普通の人にとっては99%ゴミにしか見えませんが、カセットデッキを愛している人にとっては宝物ですね☆彡
外観は文句なしの状態ですが、残念ながらテープは回りません。耳を澄ませると、モーターが回っている音は聞こえるので、恐らくベルトが切れているのだろうと予想します。
さすがにホテルの中でデッキの蓋を開けるのは、ネジを失くした時のリスクを考えると、ここは我慢です。
ホテルの部屋の中でデッキをチェックするという貴重なシーンを動画に収めて、1日目が終わりました。
どうやって持ち帰る?
さて、お相手の方からデッキを受け取ってご満悦…といきたいところですが、まだ終わっていません。こんどは地元の愛知県までデッキを持ち帰らなくてはなりません。
頑張って自力で運べないこともないですが、さすがにそこまでの気力はなかったです。
ということで、元箱に傷が付かないようにしっかり梱包したうえで宅急便で送ることにしました。実は事前に元箱付きということが分かっていたので、箱を包める分のクッションを持参していきました。
元箱をすっぽりクッションで覆い、その上に送り状を貼ります。箱をクッションで覆うのは箱が汚れないようにする目的もありますが、なんせ45年前の箱なので強度的にも心許ないです。
当日は120cm×120cmのプチプチを3枚持っていきましたが、2枚で箱を覆うことができました。余った1枚は、箱の中の隙間を埋めるように緩衝材の足しにしました。
そして荷物の発送ですが、ホテルによって荷物の発送をやってくれる所とやってくれない所があります。幸いにも宿泊したホテルはフロントが発送業務を行ってくれるので、非常に助かりました。
せっかくなので路面電車をナマロクしてみる
ホテルのフロントに荷物を預けて手ぶらになった僕ですが、このまますぐ帰るのは寂しいです。もしかしたら人生最初で最後の松山になるかもしれません。せっかくなので観光してから帰ることに。
普通に観光してもいいのですが…
実は長時間電車に乗るということで、デンスケとマイクを持ってきていました。カセットテープに周りの音を録音する「ナマロク」です。
今回、本格的にナマロクをしたのは1年ぶりかもしれません。昨年、離島にナマロクをしに行った以来です。
松山市というと道後温泉が有名な観光地ですが、そこへのアクセスに欠かせないのが路面電車。鉄道好きの方なら話が早いかもしれませんが、釣り掛け駆動の電車が未だ現役です。
大昔の電車はモーターの轟音が凄かったと思いますが、そんな車両がまだ走っています。僕は平成生まれということで、なかなか渋い電車の音を聴く機会はあまりありません。思い出としてカセットテープに音を録っておくことに。
非圧縮の音声データのため、容量がかなり大きくなっています。スマホなどのモバイル機器でお聴きの際は、Wi-Fiに接続することをお勧めします。
(WAV形式 96kHz-24bit 116MB)
昔よく電車に乗っていた方にとっては懐かしい音かもしれません。
電車の音をナマロクするのは今回が初ですが、なかなか難しいです。電車が止まっているときは「シーン」と静かになりますし、スピードを出して走っているときは会話がしにくくなるくらいに音が大きくなります。
とにかくダイナミックレンジが広い!
これはハイポジのテープが要りますね。ノーマルテープでも録れますが、「シーン」としている時にヒスノイズがよく聞こえてきます。ドルビーも使えない事はないですが、あまり使いたくないですよね。
後記
今回のデッキ、奇跡的なコンディションだったことも嬉しいですが、実はもう一つの奇跡があります。このデッキが出品されたきっかけは引っ越しの整理だったそうですが、買い手が居なければ処分になるところでした。
2つの奇跡が重なって「やべぇ、運を使い果たしちまった…」と思ってしまうくらい幸運でした。しかしそれよりも嬉しかったのは、お相手の方と手渡しで受け取りができたことですね。
「買った」というよりも「譲ってもらった」という気持ちの方がが強いです。大事にされていた物を譲ってもらえるとなると、僕も大事にしていこうという気持ちがより芽生えてきました。
文章では表現しきれないような感動がありますね。長時間かけて赴いたことや初めての土地を旅したことなど、家を発ってから帰るまでの一連の思い出がこのデッキに詰めらたように感じます。
カセットデッキに限らず他の物でも当てはまると思いますが、何か物語があるとより愛着が湧くような気がしました。そして、お金には代えられないレベルに到達したら、それはもう真の愛着だと思います。
自分の足で品物を受け取りに行くのは今回が初めてで、旅費は結構かかりましたが非常に良い経験になりました。何でもネット上(デジタル)で完結できる時代ですが、あえて直接会いに行くという、アナログな方法に回帰したときの人情や感動は計り知れないと実感しました。
さて、この記事を書いているのは2021年6月ですが、引き取りに行ったのは4月上旬のことです。早2カ月が経ちますが、現在はどんな状態になっているかと…
見事にバラバラ。((( ゚Д゚)))
別にわざと壊しているわけではありませんので安心してください。製造から45年以上経過しているということで、一度完全に分解して点検やメンテナンスをするオーバーホールを行っています。
せっかくこんなに素晴らしいデッキを譲っていただけたので、この先も残していくのであれば健全な状態で残しいところです。隙間時間を見つけての作業なのでなかなか完成までは遠いですが、無事に完成したらお披露目したいと思います。
乞うご期待。
それでは、また(・ω・)ノ
動画バージョン