西村音響店

TEAC R-616X dbx搭載のオートリバースデッキ

 

3ヘッドデッキを多く取り扱っていますが、今回はオートリバースデッキを取り扱います。TEAC R-616Xは、dbxを搭載したオートリバースデッキです。

決して高級なデッキではありませんが、3万円クラスに、dbxをプラスしたモデルと言ってよいと思います。


内部はシンプルな構成です。dbx回路も含めて、1枚の基板にまとまっています。各ブロックを色枠で囲んでみました。

紫・・・電源
青・・・録音/再生
黄・・・dbx
橙・・・ドルビー
桃・・・システムコントロール/モータードライブ

高級機種になると、アンプとシスコンが別々の基板になってきますね。

通電確認です。動作もベルト切れもなく問題ない状態ですが、このまま終了はしません。もちろんメカを降ろして、点検していきます。

メカの背面ですが、2モーター構成となっているのが確認できます。このメカはTEAC独自メカではありません。

ちなみにこのR-616Xは1989年製で、同時期にR-9000も発売されていましたが、こちらは3モーター構成の独自メカを搭載しています。

メカは後ろから引き抜きます。引き抜くときは、扉をオープン状態にして干渉を避けながら取り外します。前面パネルは取り外す必要はありません。

メカには同形状の3ピンのコネクタが2つありますので、組立て時に違わないよう、画像での記録や、マーキングをしておきます。

メカの取り外しに成功しました。

ケーブルの取り外しで、先ほどの基板側のコネクタと、メカ背面に4つのコネクタが刺さっていますので引き抜きます。

録再ヘッドのケーブルは、非常に細いので誤って断線させないように慎重に行います。このコネクタだけ、ラッチで固定するタイプですので、ラッチのロックを外すだけで、軽く抜き取ることができます。

扉の取り外しにかかります。まずは扉のロック部分を外します。左右に比較的大きなネジで固定されています。

左側には、スプリングが付いており、EJECTボタンを離したときに、扉をロックする状態に戻る構造になっています。このスプリングも外す必要があります。これは、多くのカセットデッキに採用されている構造です。パワーローディングでも多くは、このロック機構を自動で動かしています。ただしAKAI/A&Dの3ヘッドメカは異なっています。


底部にはケーブルが固定されているので、ネジごと外します。扉に付いている、ディレクションインジケータのLEDに繋がっているケーブルです。


次に小さいネジが左右2つずつ固定されています。これを外すと扉が外れます。ただし左側にオープン用のキックスプリングが入っていますので、先に取り外ししておくと安全です。

基板は金属部分の突起を捻じ曲げて固定されていますので、ラジオペンチなどで、穴に合わせてまっすぐにすると引き上げることができます。この下にネジがありますが、これがキャプスタンモーターの枠ぐみを固定しているネジの1つです。そして下部分にも2つネジがあります。この段階で、同時にキャプスタンモーターの配線も抜いておきます。

この様に綺麗に外れます。リバースのため、キャプスタンは2つです。リバースとよく呼んでいますが、バイディクショナルとも呼んだりします。

キャプスタンを外すと、ギヤが露出します。この構造が廉価機によく搭載されているメカの特徴です。キャプスタンモーターから動力を得てギヤを回転させ、ヘッドを上下します。その動力の断絶をソレノイドで行っています。

ヘッドブロックと、ピンチローラも外しました。ヘッドブロックの取り外しは少しコツが要ります。上方向に持ち上げた状態で、手前に引き抜くのですが、他の部分と干渉するので、上手く避ける必要があります。


ギヤとヘッド回転用のレバーを取り外しました。この辺りの取り外しが少し難しいかもしれません。実際のところ、このタイプのメカは故障率が低く、固着して動作が鈍くなる事例も聞かないため、メンテナンスの必要性が低いです。キャプスタンベルトの交換くらいだけになるかと思います。


扉のゴムダンパーが劣化して、勢いよく飛び出してきますので、新品のゴムに交換しました。

部品を組み立てて、メカの取付けですが、先ほど扉をオープン状態にすると解説したのがこの様子です。クローズ状態ですと、パネルの突起に引っ掛かって、上手く入っていきません。

組立てが終わって動作確認です。通常の2ヘッドですので、録音と再生を同じギャップ幅である以上、3ヘッドよりも信号の読み取り精度が劣りますが、dbxNRの入門にはよいデッキです。3ヘッドのdbx搭載デッキになると高級機種が多く価格も高くなりますが、お手頃なdbx搭載デッキという意味では魅力があると思います。

ただ価格相応に、動作のレスポンスはやや遅めです。この辺はコスト削減の為に、仕方のない事かもしれませんが、dbxを搭載しているだけでも、dbx入門機として重要なラインナップになるでしょう。

 

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