独立懸架とコンビネーションヘッドって何が違うの?

カセットデッキのいろは 第51回

 

どうもこんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。

音響店のブログをご覧いただき、ありがとうございます。


 

今回は、ちょっとマニアックなお話です。

3ヘッド方式のカセットデッキでは、『独立懸架ヘッド』と『コンビネーションヘッド』の2種類が存在します。

皆さんはご存知ですか?

 

カタログに、そういった単語が出ているので、ご存知の方が多いかもしれません。

となれば、別にマニアックでもないかもしれませんね。

 

 

録音ヘッドと再生ヘッドが分離した
『独立懸架ヘッド』

録音ヘッドと再生ヘッドの間に、隙間が見られた場合は、『独立懸架ヘッド』です。

 

独立懸架ヘッドの特徴は、録音ヘッドと再生ヘッドの調整が別々に行えることです。

3ヘッド方式の特権といったら録音同時モニター機能ですが、この機能は両者のヘッド調整がしっかりなされてこそ、正確に機能します。

そのためには、再生ヘッドのみならず、録音ヘッドの調整も必要です。

その点で、録音同時モニターの正確さでは、独立懸架ヘッドの方が有利だと思います。


 

しかしながら、独立懸架ヘッドには弱点があります。

カセットテープには、ヘッドとテープを密着させるために、カセット側には圧着用のパッドが付いています。再生中、パッドがテープを再生ヘッドに押し当てています。

パッドをヘッドにしっかり密着させるには、出来るだけ接触する面に凹凸のないように平らな状態が望ましいです。

2つのヘッドが分離している独立懸架ヘッドは、隙間の部分がどうしても凹凸になります。僕の考察ですと、隙間の部分がテープの走行安定性が、コンビネーションヘッドと比べて若干劣るのではないかと考えています。

 

オープンリールのように、2つのヘッドが十分離れていれば問題ありません。しかし、カセットテープでは使える空間が限られているので、そもそも3ヘッド方式にするのが難しいのです。

大小5つの窓を使って、3ヘッド方式を実現するのは、簡単なことではないと思います。実際には、両端の大きな窓は、ピンチローラーで使ってしまうので、実質使えるのは、真ん中の大窓1つと隣の小窓2つです。


 

独立懸架ヘッドの例を見てみましょう。

 

先ほどの画像ですが、こちらは1979年のソニー TC-K75です。

『S&Fヘッド』と名前が付けられており、センダストとフェライトが組み合わせられたヘッドです。

 

続いて、こちらはナカミチ581Zのヘッドです。

ナカミチでは『ディスクリート3ヘッド』と謳っており、その名の通り、消去・録音・再生のそれぞれ単体ずつ搭載されています。

特徴的なのは、再生ヘッドと録音ヘッドの大きさが違うところです。大きいのが再生ヘッド、隣の小さいのが録音ヘッドです。

 

再生ヘッドは、圧着パッドにしっかり密着するように中央に取り付けられ、録音ヘッドは圧着パッドの無い部分に取り付けられています。

圧着パッドがないと密着しないのでは?と思うところですが、ここはバックテンションの効果を借りて密着させているので、大丈夫です。

結果的に、再生ヘッドも録音ヘッドも、テープとしっかり密着させることができ、高い録音/再生性能を発揮することが出来ると思います。

 

テープデッキの理想的なヘッドに一番近いのは、ナカミチの3ヘッドでしょう。

 

 

録音ヘッドと再生ヘッドが一体化した
『コンビネーションヘッド』

コンビネーションヘッドでは、最初から一体型になっているため、分離ができません。

しかし、テープの走行安定性はとても良いです。

コンビネーションヘッドでは、録音ヘッドと再生ヘッドの隙間が埋められています。ちょうどこの部分には、カセットの圧着パッドが当たります。さらに、凹凸もなく平らな表面になっているため、パッドがしっかり密着します。

 

弱点は、独立懸架ヘッドの逆です。2つのヘッドが一体になっているため、別々に調整することができません。

そのため、録音同時モニターで、実際録音された音と、再生された音に若干差がある場合があります。

でも、これは殆ど気にしなくてもよいと思います。あまりにも差がありすぎたら、製造出荷されてないはずです。あくまで理論上、誤差が出るかもしれないという程度ですから、特に気にする必要はないでしょう。


 

幾つか例を見てみましょう。

まず、こちらは1988年のヤマハKX-1000です。

この形状のコンビネーションヘッドは、TEACに限らず多くのメーカーのカセットデッキで採用されています。

録音ヘッドと再生へッドの間が平らになっており、ここにカセットの圧着パッドが当たります。

 

次は、赤井電機が独自に開発したスーパーGXヘッドです。

表面が黒色になっているのが大きな特徴です。

このスーパーGXヘッドも、コンビネーションヘッドに分類されます。録音ヘッドと再生ヘッドの間に平らな部分があるからですね。

 

まとめ

独立懸架とコンビネーションを見分けるには、録音ヘッドと再生ヘッドの間のすき間に注目しましょう。

同じカセットデッキなのに、機種によってヘッドの素材も違えば、形状も違います。

最終的には、実際に使ってみないと、音質だったり、再生安定性だったりが分からないと思います。

 

僕が実際に使った感想としては、コンビネーションヘッドの方が使いやすいです。独立懸架ヘッドも良いですが、録音中のドロップアウト(音が一瞬小さくなる現象)が、新品のテープでも時々起きるように感じました。

独立懸架ヘッドを選ぶのであれば、「どうしてもそのヘッドの重低音が病みつきになるから、再生用のデッキで使う」といった使い方をします。

 

いずれにせよ、どのカセットデッキでもイイ音は出してくれますから、色々試してみましょう。

音響店のレンタルデッキなら、それが可能ですので、よろしければ是非是非ご検討ください。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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前回の記事:
第50回 なぜバイアス調整で音質が変わるのかを述べよ。

 

 

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