50年前のオープンリール。SONY TC-102がリサイクルショップに。


 

こんにちは、西村音響店の西村です。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。

 

今回もカセットデッキ…ではなく、オープンリールのご紹介です。
いつもはカセットデッキを扱っていますが、同じテープデッキの仲間でもありますので、少し紹介してみたいと思います。

そのオープンリールデッキは、ソニーのTC-102。半世紀前の製品で、アンプにトランジスタではなく真空管が使われているという、ノスタルジックなデッキです。

やっぱり古い製品には興奮してしまいます。

 

隅っこに置いてあったTC-102。

 私用で名古屋へ出かけた時に、とあるリサイクルショップに立ち寄りました。とても暖かい雰囲気で、よくあるリサイクルショップのようなガラクタがあちらこちらに並べられているような雰囲気ではなく、販売商品でインテリアを組んでいて、まるで家の中に居るようでした。店内を順番に見て回っていると、隅っこにSONYと書かれた機械がポツンと置いてありました。

 

「なんだろう。カセットデッキにしては、形が珍しいしSONYのロゴが古い。」

 

値札を見てみると、

 

「オープンリールデッキ?…オープンリールか…」

 

 カセットデッキの世界には踏み込んでいる僕でも、オープンリールの世界は全くではありませんが、殆ど無知に近いです。どの型番が高級で性能がいいのかも、よく分かりません。

 値段は4,800円。しかし、動くかどうか分からないですし、カセットデッキは修理できても、オープンリールの修理はまた別でしょうから、買うかどうか店内をもう一周しながら考えました。カセットだったらほぼ修理出来る自身があるので、壊れていようが関係ありませんが、オープンリールは知識が浅いので、即決はできませんでした。

 カセットデッキのジャンクに手を出し始めたころの自分に戻ったようでした。スマホで、デッキの型番を検索して、自分でも修理できるのか必死に調べて、買うと決めるまでに数十分かかっていたりしました。決めるまで店内をウロウロしていた始末です。懐かしいです。

 考えた挙句、買うことにしました。やっぱり古いデッキを拾ってあげたいという気持ちがありました。調べてみると、どうやら真空管のオープンリールで、だいたい50年前の物とのこと。

 アンプに真空管が使われているデッキなんて、初めてです。

※一応補足ですが、カセットデッキなどによく使われているディスプレイは、広い意味で真空管です。


 
 

付属品も一式揃ったTC-102。

 カバーを開けると、電源コード、取扱説明書、マイク、ソニーオイル、貴重な付属品が姿を現します。ここまで揃っているのには驚きました。だいたい説明書は無くなっていることが多いですし、50年前の説明書は凄く貴重な資料ではないでしょうか。目を通してみると、現代とは少し雰囲気の違って時代を感じさせる日本語の文章と、イラストだけではなく写真も使って丁寧に説明にされていました。一番ギャップを感じたのが周波数の単位。普通はヘルツ〔Hz〕を使いますが、当時はサイクル〔c/s〕が使われていました。

 付属品の中にソニーオイルというものが入っていますが、これは可動部分へ定期的に注ぐ油だそうです。説明書にも定期的に自分で注油してくださいという風に書かれていました。この時代は、ユーザーがただ使うだけではなく、メンテナンスまで行うことが求められていたのではないでしょうか。

それでは、動作させてみましょう。

 


電源コードを差し込みます。60c/s専用なので、西日本でしか使えません。50c/sの東日本で使うには、部品交換が必要と説明がありました。
 


電源スイッチを押すと、
 


パイロットランプが点灯し、モーター音が唸りを上げます。
 

真空管は暖気が必要という話なので、電源を入れて暫く放置しておかなくてはならないようです。

10分くらい置いてみたところで、再生してみましょうか。
 

「たしか、爺さんのオープンリールがあったはず…」
 

押し入れを探してみると、ありました。

慣れない手つきで、テープをセット。

さて、音は鳴るのでしょうか。

 

 

ボリュームに少しガリがあるものの、50年も経っているのによく動きますね。

 元々壊れにくい構造になっているのか、それとも修理されているのかわかりませんが、普通に再生出来ちゃいます。オープンリールに無知な僕は、半ば奇跡的だと思ってしまいますが、詳しい方からしたらいかがでしょうか。いずれにせよ、廃棄されなかったのは、このデッキにとって幸運だったことでしょう。

 スピーカー内蔵というところが、ラジカセに近いところがありますね。しかもコンパクトなので、電源さえあればどこでも聞ける。祖父が日本舞踊の先生だったので、もしかしたら昔はこういったプレーヤーが稽古の時に使われていたのかもしれません。

 少し話が逸れますが、稽古にカセットテープが便利という話を耳にしたことがあります。今日であれば曲中の聞きたい部分へ瞬時に飛ぶことができるデジタルプレーヤーの方が便利でしょう。しかし、カセットを使い慣れた方はカセットの方が直感的で使いやすいとおっしゃる方も少なくないと思います。感が良い人だと、途中から始めたい部分を一発で当てれるかもしれませんね。何回もやっているうちに、自然とコツを掴んでしまうのではないでしょうか。一方でデジタル機器は、あれもこれも押さなきゃいけなくて、煩わしい部分があるかもしれません。聞きたいアルバムや曲を選ぶのに、何回ボタンを押せばいいのか。カセットなら、入れて再生を押すだけですから、かえって便利で簡単ですね。

 

おわりに

 今回は、半世紀前のオープンリールデッキを紹介してみましたという内容でしたが、いかがでしたでしょうか。

50年前のテープデッキにも関わらず動作可能な状態で入手でき、初めてオープンリールを再生するという体験が出来ました。

たまに動かしながら、大事に大事に動態保存をしていきます。これから先、何年音を鳴らし続けられるか楽しみですね。

 

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

まだまだ進化するSONY TC-KA3ES。

 

 

皆様こんにちは、西村音響店の西村です。
いつも音響店のブログをご覧下さり、ありがとうございます。

今回は、音響店の所有デッキである、SONY TC-KA3ESが、
また更にパワーアップいたしましたので、ご紹介します。

 

音響店のTC-KA3ESを簡単に自己紹介。

 初めての方へ、簡単に音響店のTC-KA3ESをご紹介しますと、普通のTC-KA3ESは、録音ヘッドと再生ヘッドが一体型になったコンビネーションヘッドを搭載しているのですが、音響店のTC-KA3ESは、本来は交換出来ない旧型の独立懸架型ヘッドを搭載しています。

 独立懸架型ヘッドというのは、1982年のTC-K444、TC-K555ESから始まって、TC-K555(333)ESRまで使われていたヘッドです。僕自身、このヘッドが奏でる重低音の迫力がとても好きで、カセットデッキの愛好者として好き嫌いを申すのはあまり相応しくありませんが、中身まで一新されたESGよりは、古いESR方がお気に入りです。ただ、デザインの面で気に入ったのはTC-KA3ESで、やっぱりあのゴールドカラーには惚れてしまいました。

 

「ヘッドは旧型の方が良いけど、デザインは新型の方が良い。
どっちも捨てがたい。なら、融合してみよう。」

 

 こんな背景で、コンビネーションヘッドから、旧型の独立懸架型ヘッドへの交換に挑んだのが、音響店のTC-KA3ESです。昨年の4月ごろから改造に挑戦し、それから1年経過しました。改造ができた時の達成感はとても鮮明に残っていますが、その頃は現在の僕より技術力が無かったので、トラブルが頻発しました。でも、腕が上がる度によりベストな調整ができるようになり、KA3ESのコンディションも良くなってきて、就寝前のリスニングで活躍しています。寝る前にイイ音でカセットを聴くと、よく眠れるんです(笑)

 ちなみに、旧型ヘッド⇒新型ヘッドの交換なら、ご存知の方は沢山いらっしゃると思います。よく言われているのが、旧型ヘッドは摩耗が早いという大きな欠点を持っているので、修理に出すと新型に交換されるというものですね。しかし、音響店はその逆です。

 

高級パーツでさらに音質を追求。


 再生ヘッドアンプ部分のコンデンサーは、電源平滑にニチコンのMUSE-KZを、信号のカップリングにはPARC-Audioのコンデンサーを採用しました。どちらも電解コンデンサーの中では最高級グレードで、オーディオ用に特化したコンデンサーです。再生ヘッドで拾った信号を増幅するオペアンプは、新日本無線のMUSES8920を採用しました。数ある候補の中から、重低音の響きと、少し硬めの音をチョイスし、このMUSES8920を選択しました。ソケットを取り付けているので、いつでもオペアンプの交換ができるようになっています。

 


 ノイズリダクション周辺の電解コンデンサーは、東信工業のUTSJに交換し、音質だけでなく見栄えにもこだわりました。また、ドルビーS用の回路に表面実装されているオペアンプも、より高性能な新日本無線のNUM8901Eに交換しました。

 


 ライン出力用のオペアンプも交換しました。再生ヘッドアンプと同じ、MUSES8920です。こちらもソケット付きで、いつでも好きなオペアンプに交換することができます。再生ヘッドアンプとの組み合わせを、色々試してみるといった面白いこともできます。
 また、オペアンプの近くに水色の電解コンデンサが写っていますが、ここにもPARC-Audio。ノイズリダクションの回路を出た信号をカップリングするためのコンデンサです。信号が通る部分には、とことん高級パーツを使いました。ですが、まだまだブラッシュアップの余地はありますので、今後どうなっていくかが楽しみです。

 


 録音系の部分には、ニチコンのFGシリーズの電解コンデンサー、新日本無線NJM2114Dのオペアンプを使いました。再生のみならず、録音系も改良してイイ音で録音出来るようにしました。
 電解コンデンサーを、再生系は「銀色」、録音系は「金色」というように、回路基板を眺めたときの見栄えも意識しました。オペアンプについては、音が通る部分はすべてJ-FET入力のオペアンプにしています。

 


 このような感じで、今回はオペアンプを高性能なものに交換したり、電解コンデンサーを高級品に交換にするといったカスタマイズを行ってみました。1カ月ほど分解したままになっていましたので、久しぶりにKA3ESの音を聴くことになりました。何となく前よりも、低音の迫力が増したような気がします。

カスタマイズ後の音がこちらです。
♪音源を聴く(WAV 96kHz-24bit 86.5MB)
ハイレゾで収録しているため、かなりファイルが大きいですので、再生まで時間がかかる場合があります。

 今回は、電解コンデンサーとオペアンプを中心にブラッシュアップを行いました。あと、今後はフィルム系のコンデンサを変えてみて、どう変化するかも実験したいところですね。自分で楽しんでいる部分もありますが、音響店のフルメンテナンスに+α出来ないかどうかの実験も兼ねて、こういったカスタマイズを行っています。

 
 

音質の追求だけで終わらないのが、音響店のKA3ES。


 こちらは基板を全部取り外したKA3ESです。元々は、こんな感じでしたが…

 

 

 


 こんな風にしちゃいました。

 銅メッキ…ではありません。塗りました。

 遊び半分でやってみましたが、けっこう高級感が出てしまいました。

 実際に、フラッグシップモデルであるTC-KA7ESは、シャーシが銅メッキになっています。KA7ESは本物の銅メッキですが、KA3ESは銅メッキ「風」。音質に好影響をもたらすかどうかは分かりませんが、定価6万円台のKA3ESが、あたかも9万円のデッキに早変わり。

 無意味かもしれませんが、これでいよいよ世界に1台しかないTC-KA3ESに仕上がってきて、前より愛着もかなり湧いたように感じます。クルマでも、純正より自分で弄ったクルマの方が愛着が強くなると思うのですが、まさにそうです。だって、自分で作り上げたマシンですから。


 

 もちろん、ちゃんとデッキの底面も銅メッキ風になってます。銅メッキのカセットデッキって、だいたい高級機種ですから、重たいイメージが浮かぶと思います。でもこれは、銅メッキじゃないし、電源トランスも小さいので、全然重くありません(笑)高級機種がなぜ重たいのかといえば、電源トランスが大きいからなんですね。 電源をより安定して供給するために、余裕を大きく取ってあるのです。

 

おわりに

 今回のKA3ESのカスタマイズは、音質面だけでなくドレスアップまでやってしまいました。オーディオって、音質に目が行きやすいかもしれませんが、ドレスアップもアリだと思います。
 ただ正直、今回銅メッキ風にしたのは、普通に使っている時には目に見えないところですので、やっぱり無意味かもしれません。
 しかし、自分で修理をやられる方ならキャビネットを開けるでしょうから、開けた時に銅色の輝きが目に入ってくると、安いモデルなのに高級機と錯覚してしまうかもしれません。同じKA3ESでも、自分だけ超豪華仕様?になっているので、ちょっとした自慢ネタになるかも…。

 こんな感じで、遊び心も大切にしてカセットデッキを楽しめる方法も模索しています。あのオペアンプは音が良いとか、あのコンデンサはあまり良くないとか、そういった感想を読んで選ぶより、片っ端から実験してみた方が面白いですね。

この度も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。