皆様こんにちは、西村音響店の西村です。
カセットデッキの基礎を学ぶ「カセットデッキのいろは」シリーズ。今回は、第9回でございます。
第8回では、バイアスを調整することにより、高音の強さがどう変わるかを、実際に音を聞いていただきました。バイアスを浅くすれば高音は強くなり、逆に深くすれば弱くなりました。
今回は、第7回の録音レベルの調整、第8回のバイアスの調整、これらを頭に入れて、実際にどう録音したら良いか、CDからカセットテープへ録音する場合で、具体的な方法を学んでいきましょう。
カセットデッキには、2ヘッドの物と、3ヘッドの物がありますが、今回は基本となる2ヘッドのカセットデッキで録音します。
はじめに、手順の流れを簡単にご紹介します。CDからカセットテープに録音する場合、
(1)カセットデッキを録音モードにする。
(2)録音レベルを大まかに調整しておく。
(3)再生ボタンを押して、録音を始める。
(4)巻戻して、録音した音を聞く。
(5)録音レベルとバイアスを調整する。
(6)もう一度巻戻して、録音した音を聞く。
(7)録音開始!
ラジカセと違って、調整作業がある分、ちょっと面倒ですが、これらを行うからこそ、カセットテープの音質を、一杯に引き出すことが出来ます。
録音の仕方は、人によって違うと思いますが、ここでは僕が行っている方法でご紹介します。慣れてきたら、自分なりの方法を見つけてみると良いと思います。
それでは、順番に見ていきましょう。
目次
(1)カセットデッキを録音モードにする。
カセットデッキの録音ボタンを押すと、録音スタンバイの状態になります。この状態で、CDを再生すると、音が入力されてメーターが動きます。
3ヘッドのカセットデッキの場合は、「SOURCE/TAPE」や「MONITOR」というボタンを押しても、CDの音を聞くことができます。構造上、録音した音を同時に再生できるので、調整が楽です。
(2)録音レベルを大まかに調整しておく。
(1)の状態で、「REC LEVEL」と書いてあるツマミを動かし、録音レベルの調整をします。”大まかに”というのがキーポイントになるわけですが、余りにも小さかったり、あるいは大きかったりすれば、上手く録音出来ません。
ですので、メーターに表示された目安レベルくらいに、予め合わせておきましょう。
(3)再生ボタンを押して、録音を始める。
録音が始まります。どんな音で録音されているかを確認するので、30秒くらい録音すればOKです。後で巻き戻すので、カウンターを「0000」にしておくと便利です。
(4)巻戻して、録音した音を聞く。
30秒ほど録音したら止めて、録音を始めた位置まで巻き戻しましょう。巻戻したら、再生して、どんな音で録音されたか確認します。
(5)録音レベルとバイアスを調整する。
再生した音を聞いて、音が割れていた場合は、録音レベルを少し下げましょう。0.5ずつ調整していくと良いと思います。
また、高音の強さが足りない場合は、バイアス調整のつまみを左へ、逆に高音が強すぎるときは右へ回して調整しましょう。バイアスの調整は、4分の1ずつ回していくと良いです。
(6)もう一度巻き戻して、録音した音を聞く。
録音レベル、バイアスを調整したあと、もう一度録音した音を聞いてみます。(4)の手順と同じように、録音を始めた位置まで巻戻して、再生します。
もし、思うような音で録音されていなかったら、再度、(5)の手順に戻って、録音レベルとバイアスを調整します。狙い通りの音になるまで、根気よく繰り返しましょう。
(7)録音開始!
狙い通りの音で録音が出来るようになったら、いよいよ本番です。録音を始める位置まで巻戻し、録音を始めて下さい。
これで、イイ音で録音出来ているはずです。
操作の手順は殆ど同じですが、カセットデッキによっては、少し違う場合もあります。もし取扱説明書があれば、取説の録音のページに目を通してみましょう。
いかがでしたでしょうか。
デジタルデータが当たり前の今日では、もし4分ある長さの曲だったら…どうでしょう。CDから取り込むのであれば、30秒くらいではないでしょうか。あっという間に転送が完了します。
しかし、カセットテープに、そんなものは皆無です。4分の曲なら、4分掛かります。これこそが、本当の録音という意味であると思います。今は、録音というよりデータ転送という意味合いが強いですね。
”手間暇かけて自分だけのテープを作る。”
これが、カセットテープならではの喜びだと思います。
転送ではなく、録音するからこそ です。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
次回は、普段から行っておきたい、カセットデッキのお手入れの仕方をご紹介します。
第10回はこちら。