カセットデッキのいろは 第26回
どうもこんにちは、こんばんは。西村音響店の西村です。
今回は、これからカセットデッキを修理したい人向けに、「最初はどうすればいいのか」というテーマでお話してみたいと思います。
カセットデッキの製造が終わり、さらにはメーカーでも修理は受け付けてもらえず、さらにはデジタルの時代へと変わっていったためカセットテープの役目は終え、中古屋に壊れたカセットデッキが“ジャンク品”で売られていたりしますよね。
ジャンク品というのはガラクタという意味で、言い方を悪くするとゴミを売っているようなものです。しかしながら、僕たちカセットデッキを愛用する人間からしたら、お宝に見えてしまいます。
でもジャンク品は運よく使える物もあったりしますが、多くは壊れていると思います。そこで、なんとか自分で直せないか、と考えてしまったという方、少なからずいらっしゃるんじゃないでしょうか。
今回はそんな方へ向けたテーマです。
デッキを壊すことが大きな学びとなる。
カセットデッキは、カセットテープという物理的な物体と、音という見えない電気信号、両方を扱うデバイスです。もう少し専門的にいうと、前者がメカトロニクス(Macaronis)、後者がエレクトロニクス(Electronics)です。カセットデッキの故障は両者とも考えられますが、僕が今まで見てきた中ですと、前者が圧倒的に多いです。
カセットデッキの修理は電気の知識が必要だと考えている方もいらっしゃると思いますが、僕自身では電気よりも機械の知識が必要だと考えています。
さて、「肝心なところの修理したいけど最初はどうすればいい?」に対しての答えですが、「まずは壊して勉強しろ」というのが、僕としての回答です。いやいや、壊せ!って言われても…そもそも「壊し方がわからん。」ってなると思います。
難しいところなんですよね。眺めただけで構造が分かるなんて、初めからできっこないし、論理的思考力が要るのではないかなと思います。
例えば、磁気ヘッドはどういう仕組みで上昇するのか、お手持ちのカセットデッキで考えてみて下さい。
・・・
どうでしょうか。何かひらめきましたか?
なかなか難しいと思います。
ヘッドが上昇する → ヘッドを持ち上げる → 何で? → レバー → レバーをどうやって操作する? → ソレノイドorカムギヤ → カムギヤだったらベルト駆動
という風に頭の中で浮かべば、あっこいつは恐らくこんな構造だろうということが推測できるのですが、最初からは無理です。
ということで、もし修理に初めて挑戦するのであれば、壊してもよい覚悟を持ちましょう。始めは壊すところからです。
初歩的なステップとして、まずメカを本体から降ろす工程があります。ネジと配線を外して取り外せるか、まずここからやってみましょう。最初はメカが外せるだけでも、すごく達成感があります。
あと、これもおススメかもしれません。僕が小学生の頃やっていたのですが、カセットを入れないと再生モードにならないデッキで、カセットを入れずに再生モードにするにはどうすればよいか?という問題です。ラジカセのCDプレーヤーでもやってましたね。扉を開けたままで、CDを回転させるなんてことをして遊んでいました。半ば遊び道具にしていました。
さて、最初はどんなデッキが良いかというと、ずばり安いモデルです。いきなり高級モデルでやってしまうと、もし完全に修理出来ない状態になると出費が痛いので、できれば5,000円以下のものが良いです。僕が始めたころは高校生でしたので、2,000~3,000円が限界でした。しかも2~3カ月に1回のペースです。
結局のところ、量をこなせという事になってしまうんですが、こればっかりは避けては通れない道です。しかし、10台もやればコツが分かってくるのではないかと思います。ただ大事なのが、組立や分解が上手く行かない時に、何故なのかを考えることです。それで、もし行き詰まったら、進めたい気持ちを堪えて、作業から離れましょう。寝てる間に方法がひらめくかもしれません。
あっ、間違っても怒ってデッキを殴ったりしないでくださいね(笑)とはいっても悔しくなって殴ってしまう事もあるんじゃないでしょうか。僕がその一人でした。分かります、その気持ち。
まとめ
ということで、今回はこれから修理に挑戦してみたい人向けにというテーマでお送りしました。どんな物事でも、はじめて挑戦するときは緊張しますし、不安が脳内を過ると思います。しかし、その先には、恐らくもう二度と抜け出せないようなカセットデッキのディープな世界が、あなたを待っています。
「カセットデッキの人口が減ってるから、頼むから来てくれ…」
一緒にカセットテープとカセットデッキを、後世に残していきましょう。
最後に僕から、これから修理に挑戦する皆様への課題です。
「あなたのデッキのキャビネット(カバー)を開けて、中を観察してみましょう。
出来る方は、どこを触ったら感電するか考察してみましょう。」
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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第27回 中古動作品のカセットデッキは、高確率で修理されている。
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第25回 カセットデッキの健康診断はミュージックテープとCDで!